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コラム

古紙価格が高騰している理由と理解しておきたい価格高騰の原因

国内の古紙価格は高騰が指摘されています。

約20年前に比べて、10倍以上の回収問屋買値になっている古紙もあります。

価格高騰の理由や今後の市場動向を気にしている方は多いでしょう。

 

本記事では、古紙市場の変化と古紙価格が高騰を続ける理由を解説するとともに国内における古紙の回収率、古紙の利用率を紹介しています。

古紙価格などが気になる方はぜひ参考にしてください。

 

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古紙市場の変化について

 

公益財団法人古紙再生センターが発表している「古紙需給統計」の古紙需給推移によると、2012年計における入荷は16,720,687トン、2021年計における入荷は15,992,312トンと、9年間で728,375トン減少しています。

 

年度により多少の変動はあるものの減少傾向にあることがうかがえます。

 

出典:公益財団法人古紙再生センター「2013年古紙需給統計(確定版)」

出典:公益財団法人古紙再生センター「2022年古紙需給統計(確定版)」

 

主な理由と考えられているのが、少子高齢化に伴う人口減少とデジタル化の進展による紙の生産量の減少です。

経済産業省の発表で、2000年の時点で31,800,000トンあった紙の生産量が2019年には25,300,000トンまで減少していることが示されています。

 

ただし、全ての紙の生産量が同じように減少しているわけではありません。

段ボール等に利用される板紙は、近年になって生産量が増加しています。

コロナ禍による巣ごもり需要で通販が活況となり、輸送時に梱包される段ボール需要が増大したためです。

 

国内の古紙市場は大きく変化しているといえるでしょう。

 

出典:経済産業省「製紙産業からみた次期古紙利用率目標について」

 

日本における古紙の回収と利用の現状

 

日本の古紙回収率ならびに古紙利用率は世界トップレベルと考えられています。

回収・再利用のシステムが整えられているためです。

 

具体的にどれくらいの回収率・利用率なのでしょうか。

 

古紙の回収率

 

公益財団法人古紙再生促進センターの発表によると、2021年度における古紙の回収率は80.0%です。

若干の変動はあるものの2012年度以降は80%前後で推移しています。

 

古紙回収率は「(古紙入荷÷古紙輸入+古紙輸出+古紙パルプ)/紙・板紙国内消費」で求めます。

紙・板紙国内消費は、紙・板紙払出、紙・板紙輸入、紙・板紙輸出の合計です。

 

また、経済産業省の発表によると、1999年における古紙の回収率は56.3%です。

回収率は20年間で24%上昇(2019年の回収率80.3%)しています。

主な理由は、国民の環境意識の向上と分別回収の浸透です。

 

ただし、回収率の向上により品質の悪い古紙が増加しています。

したがって、回収率の増加が利用率の増加に直結するわけではありません。

 

出典:公益財団法人古紙再生促進センター「古紙回収率推移」
出典:経済産業省「製紙産業からみた次期古紙利用率目標について」

 

古紙の利用率

 

公益財団法人古紙再生促進センターの発表によると、2021年度における古紙の利用率は65.9%です。

2003年度に60.2%に達してから多少の増減を繰り返しつつ、利用率は緩やかに上昇しています。

古紙利用率は「古紙パルプ+古紙/繊維原料」で求めます。

繊維原料は、パルプ、古紙・パルプ、古紙、その他繊維原料の合計です。

 

また、経済産業省の発表によると、1999年における古紙の利用率は56.3%です。

20年間で約8%上昇(2019年の利用率64.6%)していますが、回収率に比べると伸び率は緩やかといえるでしょう。

今後も利用率の大幅な向上は見込みにくいと考えられています。

利用率の高い新聞の生産量が減少しているうえ、再生紙においてもバージンパルプと同様の品質を求められるためです。

 

板紙は2012年度に利用率が93%に達しているため、これ以上の向上を見込めません。

古紙の利用率は横ばいで推移すると考えられます。

 

出典:公益財団法人古紙再生促進センター「古紙回収率推移」
出典:経済産業省「製紙産業からみた次期古紙利用率目標について」

 

古紙の価格が高騰している理由

 

現在は、古紙の価格が高騰しているといわれています。

 

紙・パルプの専門商社であるKPPグループホールディングス株式会社が発表しているマーケットデータによると、2023年11月時点における回収問屋買値は、新聞が7.0~8.0円/kg、雑誌が3.0~5.0円/kg、段ボールが5.0~8.0円/kgです。

2001年11月時点の回収問屋買値は、新聞が1.5~2.5円/kg、雑誌が-1~0.1円/kg、段ボールが0~0.5円/kgでした。

 

高騰の主な理由は次の通りです。

 

【高騰の理由】

  • ・コロナ禍におけるデジタル化の進展で古紙の発生量が減少
  • ・脱炭素による古紙の発生量の低下
  • ・通販市場の拡大に伴う段ボールの需要増
  • ・ガソリン代の高騰による古紙の回収費用の高騰

 

コロナや脱炭素による影響で古紙の発生量が低下しているのに対して、古紙自体の需要はあるため価格が高騰しています。

 

以上に加え、ガソリン代の高騰により回収コストが増加している点も見逃せません。

 

国内企業の古紙に関する動向

 

国内企業は、古紙をどのように利用しているのでしょうか。

 

主要企業の動向をみていくと、これまで焼却されることが多かった難処理古紙の再生に取り組むなど、さまざまな種類の古紙を活用することで、古紙利用率の改善に向けた取り組みを実施しているようです。

 

古紙回収業者にできること

 

古紙市場が縮小傾向にあることから、古紙以外の多角的な事業に乗り出す企業が増えており、産廃の取り扱いや異業種への進出など事業強化の動きが起きています。

 

これから新規に産廃を取り扱われる /  取り扱いを検討されている企業さまも多くいらっしゃるのではないでしょうか。

産廃ソフト(産業廃棄物管理システム)を導入することで、産廃管理に関する複雑な業務を一元管理し、業務効率の改善が期待できます。

 

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古紙価格の高騰が続いている

 

本記事では、古紙価格の高騰について解説しました。人口減少やデジタル化の進展に伴う紙の生産量減少に海外の需要増などが加わり、日本国内の古紙価格が高騰しています。

 

生産量ならびに回収率・利用率の大幅な増加は見込めないため、他の条件に大きな変化がなければ現在の状況は継続する可能性があります。

回収コスト増につながるガソリン価格の高騰にも注意が必要です。

 

今後の見通しを踏まえて対策を検討しましょう。

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