電子契約とは?メリット・デメリットや導入までの流れを解説
トピックス TOPICS
コラム
産業廃棄物を扱うためには資格が必要?種類や取得方法・費用
事業活動から生じる「産業廃棄物」は、家庭から排出されるゴミとは異なる方法で処理されます。
廃棄物を排出する事業者には、専門資格を保有する責任者を設置し適切に管理することが求められます。
また、産業廃棄物の収集運搬・処分業務を行うためには、許可と専門の資格取得が必要です。
そこで本記事では、産業廃棄物の処理に関わる資格と、その取得方法や費用について解説します。
産業廃棄物を排出する事業者で処理業務に関わっている方、資格取得を目指している方は、ぜひ参考にしてください。
< 目次 >
産業廃棄物に関わる資格と取得方法
産業廃棄物とは燃え殻や汚泥、紙くずや廃プラスチック類など、法律で定められた全20種類の廃棄物を指します。
中でも爆発性・毒性・感染性があり、他人の健康や生活環境を害する恐れのある産業廃棄物を「特別管理産業廃棄物」と呼びます。
産業廃棄物は危険性を伴うため慎重な処理が必要です。
排出事業者は産業廃棄物が最終処分されるまでの一連の流れにおいて責任を負います。
また、産業廃棄物の収集運搬業者や処理業者も、資格や許可を得た上で規定に則った活動をしなければなりません。
産業廃棄物に関わる資格は、「特別管理産業廃棄物管理責任者」と「廃棄物処理施設技術管理者」の国家資格2種類です。許可は、都道府県や政令都市などから受ける「産業廃棄物収集運搬業」「産業廃棄物処分業」「特別管理産業廃棄物収集運搬業」「特別管理産業廃棄物処分業」の4種類に分けられます。
2つの国家資格のうち、「特別管理産業廃棄物管理責任者」は排出事業者に関わる資格で、「廃棄物処理施設技術管理者」は処理業者に関わるものです。
また、4つの許可はそれぞれ産業廃棄物処理業者が自社の事業内容に応じて取得します。
それぞれの資格の内容や、取得するまでの費用について以下に解説します。
特別管理産業廃棄物管理責任者
特別管理産業廃棄物とは、揮発油類、灯油類、軽油類(難燃性のタールピッチ類等を除く)や著しい腐食性を有するpH2.0以下の廃酸・pH12.5以上の廃アルカリなどです。
燃え殻やばいじん、汚泥なども一定の基準を超えると、特別管理産業廃棄物とみなされます。
特別管理産業廃棄物は通常の産業廃棄物よりも厳しい処理基準が設けられているため、排出事業者は事業場ごとに特別管理産業廃棄物管理責任者を設置しなければなりません。
万が一、事業者が設置義務を怠った場合、30万円以下の罰金が科されます。
特別管理産業廃棄物管理責任者の役割・業務内容は主に3つです。
(1)排出状況の確認。事業場から生じる特別管理産業廃棄物の種類や量を正しく把握し、不法投棄や処理漏れなどのトラブルを防ぎます。
(2)処理計画の立案。特別管理産業廃棄物をどのような手段・スケジュールで処理していくのかの予定を立て、各担当者の動きを明確化します。
(3)処理方法の確保。特別管理産業廃棄物の保管状況を把握し、適切な委託業者選び・マニフェストの交付や保存を行います。
取得方法
特別管理産業廃棄物管理責任者は、事業場が感染性産業廃棄物またはそれ以外の産業廃棄物を取り扱うかによって、選任要件や取得方法が異なります。
感染性産業廃棄物を生ずる事業場の場合、特別管理産業廃棄物管理責任者の選任要件は3つあります。
(1)医師や看護師・薬剤師・保健師などの医療資格を有すること。
(2)環境衛生指導員として、2年以上の実務経験を有すること。
(3)大学や高等専門学校で医学や薬学などの課程を修了していること。
感染性産業廃棄物以外の産業廃棄物を生ずる事業場の場合でも、特別管理産業廃棄物管理責任者の選任要件は細かく規定されています。
環境衛生指導員の資格を有し、2年以上の実務経験を有することや、大学の理学・薬学・工学・農学課程で衛生工学・化学工学を修了した上で、廃棄物処理に係る実務経験を2年以上有していることなどがその一例です。
選任要件を満たさない場合でも、日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)主催の講習会を修了し、試験に合格すれば同等の資格を有していると認められます。
JWセンター特管責任者講習会の詳細はこちら
費用
JWセンターの講習会受講料は、13,800円です。
廃棄物処理施設技術管理者
一般廃棄物や産業廃棄物の処理施設において、事業者は廃棄物処理施設技術管理者を設置する義務があります。
設置義務を怠ると30万円以下の罰金が科されます。
なお、処理施設の設置者が廃棄物処理施設技術管理者を務めることも可能です。
廃棄物処理施設技術管理者の役割・業務内容は、関係法令を遵守しながら処理施設の維持・管理に努め、他の職員を監督することです。
具体的には、施設の運転や運転時の監視・監督、定期保守点検や必要措置の実施、維持管理要領の立案(搬入の計画や管理・運用体制・保守点検手段)、施設設置者への改善事項などの意見具申を行います。
取得方法
廃棄物処理施設技術管理者の選任要件は、資格や実務経験により細かく規定されています。
選任要件の例は、化学部門・上下水道部門・衛生工学部門の技術士、環境衛生指導員として2年以上の実務経験を有する者、大学の理学・薬学・工学・農学課程で、衛生工学・化学工学を修了し、2年以上の実務経験がある者などです。
なお、選任要件を満たしていない場合でも、一般財団法人日本環境衛生センター主催の講習会を修了し、試験に合格すれば同等の資格を有していると認められます。
廃棄物処理施設技術管理者講習は、「基礎・管理課程講習」と「管理課程講習」の2つに分けられます。
基礎・管理課程講習は、実務経験の有無に関わらず、20歳以上の全ての人が受講可能です。
受講コースは、①ゴミ処理施設コース②し尿・汚泥再生処理施設コース③産業廃棄物中間処理施設コース④産業廃棄物焼却施設コース⑤最終処分場コース⑥破砕・リサイクル施設コース⑦有機性廃棄物資源化施設コースの全7種類に分けられます。
①〜⑤は全10日間(基礎課程6日間・管理課程4日間)、⑥〜⑦は全8日間(基礎課程6日間・管理課程4日間)の講習を受けます。
基礎・管理課程講習は開催地が限られているため、確認が必要です。
管理課程講習は、実務経験のある人が対象で、学歴や経験により受講日数が短縮されます。
基礎・管理課程講習と同じく、施設の種類ごとに全7コースあり、4日間の講習が実施されます。
管理課程講習は、全国主要都市で開催されています。
一般財団法人日本環境衛生センター廃棄物処理施設技術管理者講習の詳細はこちら
費用
基礎・管理課程講習の受講料は、①〜⑤のコースが121,000円、⑥〜⑦のコースが103,400円です。
一方で、管理課程講習の受講料は、全コース66,000円均一です。
【関連記事】
廃棄物処理施設技術管理者とは
産業廃棄物収集運搬業
産業廃棄物の収集運搬業者が、排出事業者から委託を受けて産業廃棄物を回収し、処理施設までの運搬を行うためには、都道府県や政令都市などからの許可を得て、収集運搬の基準を守らなくてはなりません。
産業廃棄物を積み込んだ地域と積み下ろした地域の許可権者が異なる場合は、両方の都道府県・政令都市などの許可が必要です。
許可なしに収集運搬業を行った場合、5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方が科されます。
また排出事業者は、適正な処理を行うために委託する業者が産業廃棄物収集運搬業許可を得ていることを確認し、マニフェストの管理や収集運搬状況を把握する必要があります。
取得方法
産業廃棄物収集運搬業の許可を得るためには、施設に係る基準と申請者の能力に係る基準を満たさなくてはなりません。
施設に係る基準とは、収集運搬に用いる車両や船舶・容器や施設が業務に適し、飛散・悪臭・流出の恐れがないものであることです。
申請者の能力に係る基準では、欠格要件に該当しないこと、経済的基盤を有すること、十分な知識・技術を有していることが求められます。
十分な知識・技術は、JWセンター主催の産業廃棄物収集・運搬課程を受講し、修了書の交付を受けることで認められます。
講習では、行政概論や業務管理・環境概論・安全衛管理・収集運搬について学び、最後に修了試験を受けます。
*許可申請の具体的な方法は各都道府県で異なるため、詳細は各都道府県にお問い合わせください。
費用
講習の受講料は30,500円です。
講習を修了したのち、都道府県・政令都市に産業廃棄物収集運搬業の許可を申請できます。
新規申請料は81,000円です。
【関連記事 】
「産業廃棄物収集運搬業」許可の有無や申請方法・業務上の義務
産業廃棄物処分業
破砕・焼却・脱水・中和・溶解・選別などの方法で中間処理された産業廃棄物は、リサイクルされるものを除き、埋め立てや海面投入によって最終処分されます。
この一連の流れを担うのが産業廃棄物処分業です。
産業廃棄物処分業を行うためには、都道府県・政令都市などの許可が欠かせません。
許可証には許可番号や有効期限、事業範囲や処理設備について記載されています。
許可なく産業廃棄物処分業を行ったり、無許可の業者に処理業務を委託したりした場合、5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方が科せられます。
取得方法
産業廃棄物処分業の許可を得るためには、JWセンター主催の産業廃棄物処分課程の受講が欠かせません。
講習では、行政概論や環境概論・中間処理・再生利用・最終処分・安全衛生管理・業務管理・計測管理について学び、修了試験を受けます。
なお、産業廃棄物収集運搬業と同じく、欠格要件に該当しないことが求められます。
*許可申請の具体的な方法は各都道府県・政令指定都市で異なるため、詳細は各都道府県・政令指定都市にお問い合わせください。
費用
講習の受講料は48,700円です。
講習を修了したのち、都道府県・政令都市などへ産業廃棄物処分業の許可を申請できます。
新規申請料は100,000円です。
特別管理産業廃棄物収集運搬業
特別管理産業廃棄物は、爆発性や毒性・感染性があるため、慎重に収集運搬されなくてはなりません。
特別管理産業廃棄物収集運搬業を行うためには、都道府県・政令都市の許可が不可欠です。
違反した場合には、5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金などの重い刑が科されます。
取得方法
特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可を得るためには、JWセンター主催の特別管理産業廃棄物収集運搬課程を受けなくてはなりません。
講習内容は、産業廃棄物収集運搬課程の内容に特別管理産業廃棄物概論を加えたものです。
なお、欠格要件に当てはまる場合、特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可を得ることはできません。
*許可申請の具体的な方法は各都道府県・政令指定都市で異なるため、詳細は各都道府県・政令指定都市にお問い合わせください。
費用
講習の受講料は46,600円です。
講習を修了したのち、都道府県・政令都市などへ特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可を申請できます。
新規申請料は81,000円で、各種書類の提出が求められます。
特別管理産業廃棄物処分業
特別管理産業廃棄物処分業を行うためにも、都道府県・政令都市の許可が欠かせません。
許可なしに業務を行ったり、許可のない処分業者に委託した場合、5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方が科されます。
取得方法
特別管理産業廃棄物処分業の許可を得るためには、まずJWセンター主催の特別管理産業廃棄物処分課程を受けます。
講習内容は、産業廃棄物処分課程の内容に特別管理産業廃棄物概論を加えたものです。
なお、受講するためには欠格要件に当てはまらないことが原則です。
*許可申請の具体的な方法は各都道府県・政令指定都市で異なるため、詳細は各都道府県・政令指定都市にお問い合わせください。
費用
講習の受講料は68,800円です。
講習を修了したのち、都道府県・政令都市などへ特別管理産業廃棄物処分業の許可を申請できます。
新規申請料は100,000円で、計画書をはじめとする書類を提出しなくてはなりません。
産業廃棄物を扱うためには専門の資格が必須
いかがでしたでしょうか。
今回は産業廃棄物を扱うために必要な資格や許可の種類を紹介し、取得方法や費用を解説しました。
産業廃棄物は誤った方法で処理すると、思わぬ事故やトラブルを引き起こしかねません。
産業廃棄物の排出事業者や、収集運搬・処分業に興味のある方は、必要要件を確認しましょう。
当サイトを運営する株式会社JEMSでは廃棄物処理・リサイクル業者さま向けの基幹システム「将軍シリーズ」を中心に、多彩な連携サービスで総合的なソリューションをご提供しています。
業界シェアトップクラスの実績と安心のサポート体制で業界専門の課題解決アドバイザーとして、貴社の悩みに向き合います。
産廃ソフト(産業廃棄物の業務管理システム)をお探しの方はぜひご相談ください。