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コラム

産業廃棄物処理業界で人手不足が続く理由と具体的な対処法

産業廃棄物処理業界では、深刻な人手不足が続いています。

採用活動を行っても応募者を集められない、採用につながらないなどと悩んでいる事業者は多いでしょう。

 

本記事では、産業廃棄物処理業界の現状を紹介するとともに人手不足が引き起こされている原因、人手不足に対処する方法などを解説しています。

以下の情報を参考にすれば、現状を踏まえて対処できるようになるはずです。

 

新たに人材を採用したい、採用した人材を定着させたいなどのニーズを抱えている方は、ぜひ参考にしてください。

 

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産業廃棄物処理業界が人手不足とされている現状

 

産業廃棄物処理業界は、人手不足が深刻とされている業界のひとつです。

 

公益社団法人全国産業資源循環連合会が産業廃棄物処理業の経営環境を把握するため実施した「産業廃棄物処理業景況動向調査結果について〔2020 年 1~3 月期〕」で、経営上の問題として「従業員不足」が11期連続で1位(19.9%)、その後も上位の課題となっています。

 

同連合会が発表した2023年 7~9 月期の同調査で、50.0%が「従業員の不足」を経営上の問題点としてあげており、残念ながら、現在も「従業員の不足」は解消していないようです。

人手不足がより深刻化しているといえるかもしれません。

 

また、公益社団法人全国産業廃棄物連合会が平成27年に発表した「産業廃棄物処理業界の今後の方向性に関するアンケート結果報告書」では、同連合会に所属する会員企業のうち57.3%が産業廃棄物処理業の将来(およそ10年先)を「どちらかと言えば暗い」と予想し、その理由として「新規採用人員・運転者の確保など人材不足」などをあげています。

 

環境省環境再生・資源循環局廃棄物規制課が発表した「令和2年度産業廃棄物処理業における多様な人材の確保に関する調査結果概要」でも、産業廃棄物処理業界が人手不足に悩んでいる現状が明らかになっています。

 

「人材の過不足感」に対する質問に対して、「やや不足」と回答した会社の割合は40%(139社)、「不足」と回答した会社の割合は11%(37社)です(ともに産業処理業全体の割合)。

半数以上が人手不足に悩んでいることがわかります。

 

 

出典:(pdf)公益社団法人全国産業資源循環連合会「産業廃棄物処理業景況動向調査結果について〔2020 年 1~3 月期〕」

出典:(pdf)公益社団法人全国産業資源循環連合会「産業廃棄物処理業景況動向調査結果について〔2023 年 7-9 月期(概要版)〕」

出典:(pdf)公益社団法人全国産業廃棄物連合会「産業廃棄物処理業界の今後の方向性に関するアンケート結果報告書」

出典:(pdf)環境省環境再生・資源循環局廃棄物規制課「令和2年度産業廃棄物処理業における多様な人材の確保に関する調査結果概要」

 

産業廃棄物処理業界が人手不足とされている原因

 

産業廃棄物処理業界では、生産年齢人口の減少をベースに、独自の原因により人手不足が進んでいると考えられています。

 

厚生労働省が発表している資料によると、産業廃棄物収集作業員の参考値(0年)は1,340円、職業計の参考値(0年)は1,429円です(参考値は、令和4年度にハローワークで受理した無期雇用かつフルタイムの求人における賃金の中間値の平均を時給換算し賞与指数を乗じた値)。

 

また、いわゆる3K(きつい・きたない・危険)のイメージが付きまとう点も注意が必要といえるでしょう。

 

賃金水準が低いうえ、マイナスイメージも定着しているため、人材を確保できない状況が続いているのです。

 

出典:厚生労働省「職業安定業務統計の求人賃金を基準値とした一般基本給・賞与等の額(時給換算)」

 

産業廃棄物処理業界における人手不足解消の取り組み

 

産業廃棄物処理業界は、人材不足をどのように解消すればよいのでしょうか。

 

検討したい対策を紹介します。

 

賃金などの雇用条件の改善

 

採用活動で他業界の企業と同じ土俵に乗るため改善したいのが、賃金をはじめとする雇用条件の改善です。

他業界に比べて賃金が少ないと、就職先・転職先の現実的な選択肢にはなりえません。

熱意がある人材以外は、就職・転職する理由を見出しにくいためです。

 

厚生労働省が発表している「令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況」によると、短時間労働者における1時間当たり賃金は男女計が1,367円、男性が1,624円、女性が1,270円です。

人手不足を解消したい場合は、この賃金水準に近づける必要があると考えられます。

 

出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況」

 

職場環境の改善

 

職場環境の改善にも取り組まなければなりません。

「きつい・きたない・危険」などのイメージが付きまとうと、賃金を平均的な水準に引き上げても応募者を効率よく集められないためです。さらなる賃金の引き上げを迫られる恐れがあります。

 

具体的な施策として、清潔感のある制服の採用マナー講習の実施安全衛生教育の実施清潔に関する取り組みなどが考えられます。

これらの取り組みをSNSなどで発信して、企業イメージの改善を図ってもよいでしょう。

 

システム導入による業務効率化

 

ITシステムの導入による業務効率化も人手不足の解消に役立ちます。

業務の効率化が進めば、新たに人材を採用する必要がなくなるためです。

 

具体的な取り組みとして、電子マニフェストの導入遠隔カメラによる場内の監視AIによる配車管理などが考えられます。

 

実際にこれらの取り組みを行っている事業者は少なくありません。

一定の投資は必要ですが、人手不足を解消するためできることから取り組んでいくことが大切です。

 

従業員の知識・技能の向上

 

従業員の教育も人手不足の解消に役立つ可能性があります。

知識・技能が身につくと、やりがいを感じやすくなるためです。

早期離職の予防や定着率アップにつながる施策と考えられます。

 

また、従業員がマルチタスクをこなせるようになると業務の効率化も進みます。

この面からも人手不足の解消を図れるでしょう。

 

従業員の知識や技術の向上を図りたい場合は、全国産業資源循環連合会が開催している研修会などを活用するとよいかもしれません。

産業廃棄物処理法を正しく理解する実務者研修や処理現場における業務(法令、安全衛生、作業工程管理など)を学べるe-ラーニング講座などが開催されています。

従業員の知識や技能を効率よく伸ばせるでしょう。

セミナー/イベント|処理企業の方へ|公益社団法人 全国産業資源循環連合会

 

【排出事業者向け】産業廃棄物の処理を誤るとどうなる?

産業廃棄物処理業界は人手不足とされていますが、排出事業者は責任をもって産業廃棄物を処理しなくてはなりません。

 

排出事業者も、産業廃棄物処理方法に注意が必要です。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律で、以下の点が定められています。

 

【廃棄物の処理及び清掃に関する法律】

  • ・廃棄物を自らの責任において適切に処理しなければならない(第3条)
  • ・産業廃棄物を自ら処理しなければならない(第11条1項)
  • ・産業廃棄物の運搬または処分を委託する場合は、処理状況の確認を行い、発生から最終処分までの処理が適切に行われるための必要な処置を講じなければならない(第12条7項)

 

出典:e-GOV法令検索「昭和四十五年法律第百三十七号 廃棄物の処理及び清掃に関する法律」

 

産業廃棄物の収集運搬や処理を委託する場合は、当該廃棄物についての許可を受けている収集運搬業者・処理業者を選んで委託契約書を取り交わさなければなりません。

また、引き渡しの際に、マニフェストを交付して産業廃棄物を管理し、これを5年間保管することも求められます。

 

排出事業者が、産業廃棄物の運搬または処理の許可を得ている収集運搬業者・処理業者など以外に委託した場合、委託基準違反に該当するため5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金またはこれらを併科されます。

 

また、マニフェスト(管理票)を交付しなかった場合、必要事項を記載せずマニフェストを交付した場合、虚偽の記載をしたマニフェストを交付した場合は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処されます。排出事業者も処罰される恐れがあるため、産業廃棄物は適切に処理しなければなりません。

 

【排出事業者向け】排出事業者にできる処理を円滑に進める方法

 

人手不足が大きな課題である産業廃棄物処理業界に対して、処理を円滑に進めるため、排出事業者が行えることを紹介します。

 

分別を徹底する

 

処理を円滑に進めるため取り組みたいのが分別の徹底です。

 

処理現場では、手作業による分別が行われています。

したがって、排出時に分別を済ませておくと、手間を省ける可能性があります。

 

具体的な取り組みとして、廃棄物の種類別にゴミ箱を用意する、ゴミの分別方法を掲示する、分別方法がわからないときに相談できる窓口を開設するなどが考えられます。

例えば、可燃ごみ・不燃ごみ・資源ごみ用のゴミ箱を設置して、それぞれに該当する代表的な廃棄物を例示しておくとよいでしょう。

 

実際に設置するゴミ箱の種類や掲示する廃棄物の内容は、事業にあわせて設定することが大切です。

 

処理業者の選定を見直す

 

産業廃棄物の処理を外部の事業者へ委託する場合、料金だけで選定しないようにしましょう。

許可を得ていないものに処理を委託すると処罰される恐れがあります。

 

収集運搬業者は排出場所・運搬先の都道府県知事から許可を得ている、処理業者は排出する産業廃棄物の処理に関する許可を得ている必要があります。

 

また、廃棄物を焼却する処理業者ではなく、廃プラや食品廃棄物などの廃棄物を資源化できる処理業者を選ぶことも大切です。

このような活動は、自社の廃棄物処理に対する取り組みとしてPRすることができます。

 

3R(リデュース・リユース・リサイクル)を検討する

 

産業廃棄物処理にかかるコストを抑えたい場合は3Rを意識するとよいでしょう。

3RはReduce・Reuse・Recycleの頭文字です。

 

それぞれの意味を紹介します。

 

【3R】

Reduce 廃棄物を減らす
Reuse 廃棄物を繰り返し使う
Recycle 廃棄物を再生資源化する

 

具体的な取り組みとして、在庫管理を徹底し廃棄処分品を出さない・使い捨て容器やケースをリユース可能なものへと変更・使用済み書類の回収と再資源化などが考えられます。

 

産業廃棄物処理業界は人手不足が続いている

 

本記事では、産業廃棄物処理業界における人手不足について解説しました。

生産年齢人口の減少や低賃金、マイナスイメージの定着などを受けて、産業廃棄物処理業界は人手不足に悩まされています。

 

現状を改善したい場合は、雇用条件の見直しや職場環境の改善、業務の効率化などを図って求職者にアピールするとよいでしょう。

新規人材の採用や定着率の向上などにつながる可能性があります。自社の課題を見極めて、対策を講じていくことが重要です。

 

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