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2021.11.10

コラム

電子マニフェストとは?メリット・デメリットと導入の流れ

排出事業者が産業廃棄物の処理を委託する場合、マニフェストの交付が義務付けられています。
マニフェストに関わる書類の発行や管理は煩雑で、負担に感じている方も多いのではないでしょうか。

近年、それらの作業を効率化し業務の労力を減らすことができる「電子マニフェスト」の普及が進んでいます。
本記事では、電子マニフェストの特徴や導入のメリット、紙マニフェストとの違いなどを解説します

マニフェスト業務を改善したい方、電子マニフェストに興味のある方は、ぜひ参考にしてください。

 

電子マニフェストとは?

 

燃え殻や廃油、金属くずなど事業活動に伴い排出された産業廃棄物は、排出事業者が責任をもって適切に処分しなければなりません。
しかし、排出事業者自身が廃棄物を処分するのは現実的に厳しく、廃棄物処理業者に運搬・処分を委託するのが一般的です。
その際、産業廃棄物が正しく処理されたかを確認し、報告するための書類を「マニフェスト」と呼びます。

 

マニフェストには、排出事業者・運搬業者・処分業者の情報や、産業廃棄物の種類・数量・処分方法などを記載します。
マニフェストの運用規定を守らなかった場合、廃棄物処理法違反と判断され、罰則の対象となります。

 

電子マニフェストとは、1998年に導入されたマニフェスト業務の電子化システムです。
公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(以下、JWセンター)により管理・運営されており、2020年4月からは一部事業者に対して導入が義務付けられています。

 

公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター(外部サイトへ移動します)

 

電子マニフェストと紙マニフェストの違い

 

従来、産業廃棄物の処分においては、紙のマニフェストを運用する方法が主流でした。
現在では、情報管理の透明化や迅速化に向けて、政府主導で電子マニフェストの普及が促進されています。

 

紙マニフェスト・電子マニフェストでは、報告する内容に大きな差はありません。
しかし、媒体やサービスの性質上、運用に違いがあります。

 

まず、紙マニフェストでは、排出事業者が複写式の用紙に情報を記入し、委託する運搬業者・処分業者に交付します。
委託を受けた業者は作業終了後、それぞれ控えを残してマニフェストを排出事業者に返さなければなりません。
紙マニフェストは5年間保管し、排出事業者は毎年、一年間に交付したマニフェストを集計して自治体に報告する義務があります。
紙マニフェストは用紙を購入し記入するのみであるため、導入の手間やコストがかかりません。
廃棄物を排出する頻度が低い場合、比較的報告や管理もしやすいです。

 

一方、電子マニフェストでは、排出事業者・運搬業者・処分業者はそれぞれJWセンターが運営するJWNETを介して情報を共有します。
排出事業者が必要な情報をJWNETに登録後、運搬・処分業者が作業終了後にJWNET上で終了報告を行うと、排出事業者に通知が届きます。
マニフェストは常にJWセンターで管理されているため保管する必要がなく、排出事業者は毎年の自治体への報告義務もありません。

 

電子マニフェスト導入のメリット

 

 

電子マニフェストは、その利便性から、多くの事業者が運用に乗り出しています。
ここでは、電子マニフェストを導入するメリットについて見ていきましょう。

 

間違い・作業ミスを防ぐ

 

紙マニフェストでは、紙に手で情報を記入するため、記載漏れや間違いが生じやすいです。

一方で電子マニフェストは、法令上の必須項目をシステムが管理しているため、記載漏れや間違いなどに気づきやすく、ミスが発生しにくくなります。

一画面で全ての情報が入力できる仕様になっており、操作も簡単です。
インターネットやパソコン作業が苦手な方でも、問題なく導入できます。

 

廃棄物の処理状況をリアルタイムで確かめられる

 

運搬・処分業者の手に届いた紙マニフェストは、排出事業者に返却され終了報告を受けるまで、廃棄物の状況を確認しづらいのが難点です。
排出事業者は、期限までに委託業者からマニフェストが戻ってこない場合、措置内容報告書を作成し自治体に提出しなければなりません。

 

電子マニフェストを導入する場合、JWNETの画面上で廃棄物の処理状況を確認可能です。
運搬終了報告や処分終了報告は電子メールで通知され、報告期限が迫ると排出事業者に自動で注意喚起します。

 

廃棄物の排出・処理委託情報を把握しやすい

 

電子マニフェストの情報は、JWセンターで保存・管理されます。
排出事業者・運搬業者・処分業者は、いつでもどこでも情報にアクセス可能です。

必要な時に契約情報を確認したり、廃棄物の処理に関わるデータをダウンロードして集計したりできます。

紙マニフェストの場合、大量の紙媒体の中から必要な用紙を探す必要があるため、大きな負担がかかります。

 

マニフェストの保存が不要

 

紙マニフェストでは、全事業者がマニフェストを5年間保管しなくてはなりません。
紙媒体の保管を物理的に行う場合、紛失の恐れもあります。

 

一方で、電子マニフェストはJWセンターがデータを保管するため、マニフェストの保管義務がありません。
大切な情報を失うことなく、保管スペースも不要です。

 

【関連記事】
マニフェストの保管期間と保管方法

 

産業廃棄物管理票交付等状況報告の手間がかからない

 

紙マニフェストでは、排出事業者に対して毎年1年間分のマニフェスト交付等の報告が義務付けられています。
報告を忘れたり不正が疑われたりすると、罰則の対象となる恐れがあります。

 

一方、電子マニフェストの報告はJWセンターがまとめて行います。
マニフェストを集計して報告の準備をする手間がかかりません。
これは、自社が排出事業者となる2次マニフェストについても同様です。

 

事務作業の労力を削減する

 

電子マニフェストでは、書類への記入や委託業者への受け渡し・保管や報告などの、あらゆる事務作業の手間が省かれます。
日々交付されるマニフェスト数が多い事業者にとっては、業務の効率化や人件費の削減にもつながります。

 

法令遵守が徹底される

 

電子マニフェストは、JWセンターを介して、排出事業者・運搬業者・処分業者により閲覧・監視されています。
データの書き換えといった不正が発生しにくく、法律遵守を徹底しながら、セキュリティ面での信頼度も高いです。

 

環境に優しい

 

電子マニフェストは全ての工程が電子化されています。
紙を多く使用しないため、環境に配慮しながら廃棄物を処理することができます。

 

電子マニフェスト導入のデメリット

 

 

このように、メリットが多い電子マニフェストですが、運用前に知っておくべき留意点もあります。
ここでは、電子マニフェストを導入するデメリットを確認しましょう。

 

インターネット環境が欠かせない

 

電子マニフェストでは、JWNETを利用するためのインターネット環境が欠かせません。
通信機器やパソコン・タブレットの確保など、環境整備の手間やコストがかかる可能性もあります。

 

導入コストがかかる

 

JWNETを利用するためには、料金がかかります。
排出事業者は排出頻度が高いほど、必要なコストも高くなります。

 

料金について

 

電子マニフェストシステムの利用料金は、排出事業者・運搬業者・処分業者それぞれに定められています。

排出事業者の利用料金は、A・B・Cの3区分で基本料と使用料が以下のように異なります。

 

【排出事業者の利用料金】

・A区分 基本料(1年間)26,400円+使用料(登録1件あたり)11円

・B区分 基本料(1年間)1,980円+使用料(登録91件目から)22円

・C区分(令和4年4月〜) 基本料(1年間)110円+使用料(登録6件目から)22円

 

収集運搬業者は、基本料(1年間)のみで13,200円です。

 

処分業者は処分終了報告のみの場合、同じく基本料(1年間)のみで13,200円です。
ただし、2次マニフェスト登録機能をつけると、A区分で基本料(1年間)26,400円+使用料(登録1件あたり)11円、B区分で基本料(1年間)13,200円+使用料(登録91件目から)22円となります。

 

業務が煩雑化する恐れがある

 

業種業態によっては、紙マニフェストと電子マニフェストの使い分けが必要な場合もあるでしょう。
しかし、両者を併用すると、マニフェストの管理業務が煩雑化する恐れがあります。

不正やトラブルを防ぐためにも、できる限り運用方法を統一することをおすすめします。

 

関係する全事業者が電子マニフェストに加入しなければならない

 

電子マニフェストを利用する場合、排出事業者・運搬業者・処分業者の3者全てが、JWセンターのシステムに加入しなければなりません。
加入にはコストがかかるため、マニフェスト業務の電子化まで時間がかかる可能性が高いです。

 

システムダウンに弱い

 

全ての工程を電子化している電子マニフェストは、システムダウンした場合、情報が閲覧できなかったり、損失したりする可能性が否めません。
増加するサイバー攻撃などに対応するセキュリティ構築が進められています。

 

電子マニフェスト導入の流れ

 

ここからは、電子マニフェストの導入・利用開始の流れをご紹介します。各ステップにおける準備物や申込み手順、スムーズな運用のためのポイントなどをみていきましょう。

 

【導入の流れ】

  • 1、電子マニフェストを導入できる環境であるか確認
  • 2、加入単位の検討
  • 3、料金区分の選択
  • 4、加入の申込み
  • 5、運用ルールの策定
  • 6、社内担当者へ向けた説明会の実施・フォロー

 

電子マニフェストを導入できる環境であるか確認する

 

電子マニフェストを導入するには、インターネットが閲覧できるパソコンが必須です。JWセンターが推奨する利用環境に合致したパソコンを用意し、インターネットが利用できるよう準備を整えます。

 

また、排出事業者だけでなく、処理業者・収集運搬業者もJWNETに加入していることが、電子マニフェスト利用の必須条件となります。そのため、委託を予定している全ての業者の加入状況を確認する必要があります。

 

JWセンターのホームページで加入者情報を調べることができますので、委託先がJWNETへ加入しているかどうかをチェックしておきましょう。なお、優良認定を受けている処理業者は、原則的にJWNETに加入しています。認定を受けていない業者であっても、加入状況を検索することはできますが、情報が公開されていない場合もありますので、必要に応じて直接委託先に確認をとります。委託先が未加入の場合は、加入に向けて調整を行う必要があります。

 

【関連記事】
優良産廃処理業者認定制度のメリット

 

加入単位の検討

 

JWNETへの加入単位は、排出事業者が任意で決定できます。自社にマッチした加入単位を検討し、選択しましょう。

 

代表例としては、工場や支店など、排出事業場ごとに個別で加入する方法があります。特に支店や営業所が多い場合に適しています。製造業であれば各工場単位で、建設業であれば、現場を管轄する本社や支店、あるいは営業所単位での加入が目安となります。

 

単位検討のポイントとなるのは、1つの加入者番号に対して、加入者サブ番号が99件まで設定できる点です。このシステムを利用することにより、最大100ユーザーが同時にログインできるようになります。1加入で複数の排出事業場の管理を行えますので、本社が加入者番号を取得し、支店や営業所にサブ番号を与えて運用する方法もあります。なお、加入者サブ番号の登録に、追加の費用はかかりません。

 

サブ番号を活用する際に注意したいのは、マニフェストの情報が全て共有される点です。複数のユーザーがログインできることから、ミスにより他の営業所のマニフェスト情報・設定が削除されてしまった、誤った情報が登録されてしまった、などといったトラブルが発生する可能性も否定できません。サブ番号を活用する場合は、慎重な管理が求められるでしょう。

 

また、加入単位を検討するにあたり、管理する排出事業場の範囲を改めてチェックしておきます。中には、廃棄物の排出頻度が年単位、もしくはそれ以下となっている現場があるかもしれません。それらを見逃さないよう注意が必要です。

 

料金区分の選択

 

続いて、料金区分を選択します。排出事業者が単独で加入する際は、基本的に「A料金」または「B料金」のどちらかを選択することになります。

 

基準となるのは、年間のマニフェスト登録件数です。年間2,400件、1ヶ月あたり200件を超える場合は「A料金」、それ以下の場合は「B料金」のほうがお得です。過去の紙マニフェストの発行枚数を確認し、適切な区分を選択しましょう。

 

その他に、1社が利用代表者となり、排出事業者が20社以上集まって加入する「C料金」もあります。加入にはいくつか条件があり、1社だけでは加入できない代わりに「A料金」や「B料金」よりも安価に利用できます。処理業者が利用代表者になり、自社が廃棄物の処理を請け負う排出事業者の中で希望者を集めて加入するケースもあります。

 

加入の申込み

 

加入の手続きは、JWNETのホームページで行います。通常は、手続きを行ったその日から利用できるようになります。

 

加入申込 | 公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター(外部サイトへ移動します)

 

運用ルールを策定する

 

電子マニフェストを円滑に利用するため、社内および委託先との間で運用ルールを整えます。

 

まずは、電子マニフェストの操作拠点を検討します。電子マニフェストを操作する場所は、排出事業場でなくても構いません。例えば、営業所や支店に情報を伝え、代わりに登録してもらう、といった運用方法も可能です。建設現場など、パソコンやインターネット環境が整っていない場合に採用されることが多いです。

 

ただし、排出事業場での担当者と、電子マニフェストの入力を行う人物が異なる場合は、連絡ミスなどによって誤登録が生じる可能性もあります。誰がどのタイミングで操作をするのか、最終確認は誰が行うのかなど、社内ルールを明確に定めておきましょう。

 

排出事業者は、引き渡し日を除いた3日以内に本登録を行う必要があります。本登録がなければ、処理業者や収集運搬業者は終了報告ができません。当日、あるいは引き渡し後何日で登録するなど、スムーズな運用のための登録手順も決めておきます。

 

また、紙マニフェストと同様、電子マニフェストにおいても排出事業者が廃棄物の数量を入力する必要があります。ただし、概算ではなく正確な数量を把握したい場合には、「数量確定者」を処理業者または収集運搬業者とすることもできます。こちらは、各委託先と話し合って運用ルールを決定しましょう。

 

社内担当者へ向けた説明会の実施・フォロー

 

導入に向けた準備ができ次第、実際に作業をする担当者に対し、使い方や操作方法を説明する機会を設けます。

 

利用開始後も、状況を適宜確認することが大切です。必要に応じてフォローを行うことで、電子マニフェストの運用定着に繋がるでしょう。

 

電子マニフェストの普及率

 

マニフェストの電子化率は、年々増加しています。
2020年12月から2021年11月までの直近1年間で、34,818千件の電子マニフェストが登録され、電子化率は69.6%(2021年11月時点)です。

 

環境省が2018年に掲げた「電子マニフェスト普及拡大に向けたロードマップ」では、2022年に電子化率70%を目指しています。

 

「電子マニフェスト普及拡大に向けたロードマップ」(PDFが開きます)

 

電子マニフェストの導入でパフォーマンス向上

 

いかがでしたでしょうか。
今回は、電子マニフェストの特徴や、紙マニフェストと比べた時のメリット・デメリットを解説しました。
電子マニフェストは、業務効率をアップさせる画期的なシステムです。

 

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