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産業廃棄物処理業者に対して行われる行政処分・指導のタイプと種類を確認
本記事では行政処分とは何か、産業廃棄物処理業における行政指導・処分にはどのような種類があるのかなどを解説します。
産業廃棄物処理業に従事する方は、行政処分についても理解を深めておく必要があります。
正しく理解しておかないと間違った対応をしてしまい、取り返しがつかなくなってしまう可能性もあるからです。
健全な企業活動を行うためにおさえておくべきポイントを知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
< 目次 >
行政処分とは
行政処分とは、行政機関が法令に基づいて、国民に対して権利を与えたり義務を負わせたりする行為です。罰則や制裁を課す命令で、法的強制力を持っています。
例えば身近なところだと交通ルールを無視したために行われる免許の取り消しなども行政処分の一つです。
産業廃棄物処理業でいうと、近隣の生活環境のほか、自然環境などに何らかの悪影響をおよぼしている、または今後及ぼす可能性があると判断された場合に処分の対象となります。
何らかの理由によって行政処分が出されてしまった場合は、すぐに命令に従わなければなりません。
行政指導との違い
行政処分と似たものに「行政指導」があります。
これらの違いを確認しておきましょう。
行政指導 |
行政処分 |
|
法的な強制力 |
ない |
ある |
スタンス |
協力を求める |
権力的に命令する |
主な内容 |
勧奨・勧告・要請・助言・指導・注意など |
助言・指導・勧告 |
目的 |
悪質な行為の改善を求めるため |
悪質な行為を罰するため |
不服申し立てや抗告訴訟 |
できない |
できる |
基本的に、行政指導が先に行われ、改善が見られない場合に行政処分へと進みます。
行政指導は協力を前提としたものであり、相手が従わない場合であっても行政処分の要件には該当しません
ただし、中には行政指導で協力を願い出て拒否されてしまった場合、違反行為が継続することで近隣の生活環境・自然環境に悪影響を及ぼすようなケースも考えられます。
こういった場合は行政処分に移行し、違反行為が厳しく取り締まられるのが一般的です。
そのため「行政処分ではなく行政指導だから無視して良い」と考えることはできません。
仮に行政処分に進行して命令に従わない場合は、法的拘束力により不具合が生じるほか、刑事罰を科されることもあります。
産業廃棄物処理業における行政指導のタイプ
産業廃棄物処理業における行政指導は大きく2種類に分けられます。
どちらも「○○しなければならない」といった意味合いでは同じなのですが、呼びかけの強さが変わってくるので注意しましょう。
それぞれタイプ別に特徴を紹介します。
「必ず○○するべき」タイプ
産業廃棄物処理業における行政指導の中には、従わなかった場合にそのままだと行政処分につながってしまうものがあります。
違反の程度によっては問題があったとしてもすぐに行政処分につながることはありません。
たとえば、不適切な形で産業廃棄物を敷地内に堆積した場合はそれを改善するように行政指導が行われます。
ここで改善すればそれで終わりとなりますが、無視して不適切な堆積を続けた場合は行政処分につながるものです。
「○○したほうがいい」タイプ
たとえ無視したとしても罰則につながる可能性はほぼありません。
可能であれば対応した方が良い種類の行政処分のことをいいます。
ただ、直接的な罰則はないといっても、例えばその行政指導を受け入れないと許可申請が進まないような場合は結局不利益をこうむることになってしまうので注意が必要です。
行政処分の種類
産業廃棄物処理業における行政処分には、大きく分けて改善命令、措置命令、業務停止命令、許可取消処分の4種類があります。
それぞれどのような処分なのか確認しておきましょう。
➀改善命令
改善命令とは、現在の状況が運搬基準や処分基準、保管基準などに適合していない場合に出されるものです。
例えば、産業廃棄物の保管量が産業廃棄物処理基準で定められているものを守れていない場合などにそれを改善するための命令が出されます。
仮に改善命令が出された場合は、期限までに処理方法を変更するなど、適切な対応をとりましょう。
これが行われなかった場合は改善命令違反の扱いとなり、告発などの厳正な対処につながることになります。
②措置命令
生活環境の保全上の支障が生じていたり、生じる可能性があると判断されたり、した場合に出される命令が措置命令です。
すぐに問題の除去や再発防止のために必要な措置を取らなければなりません。
改善命令はどちらかというと、まだ具体的な危険が発生する前にそれを予防する目的で出されるものです。
一方、措置命令はそれよりも緊急性が高く、すでに具体的な危険が発生していたり、発生する可能性があったりする場合に出されます。
不適切な形で産業廃棄物の保管・収集・運搬・処分などが行われていることを指すので、緊急性を持って対処しましょう。
③業務停止命令
現状では適正に産業廃棄物の処理が行われないと判断された場合、そのまま営業の継続を認めるわけにはいきません。
このようなケースでは直ちに業務停止命令が下されることになります。
状況によっては業務・施設の一部のみの停止が命じられることもあります。
④許可取消処分
業務停止命令よりもさらに上の処分といえるのが、許可取消処分です。
業務停止となるケースよりも情状が特に重い場合は許可取消処分につながることがあります。
例えば、改善命令や措置命令を無視した場合や無許可での営業、委託基準違反などです。
判断は自治体によっても異なります。
代執行とは?
代執行とは、本来であれば命令に従って措置を実行しなければならない人に変わり、行政が原状回復を行うことをいいます。
例えば、産業廃棄物が不法投棄されてしまったとしましょう。
ですが、実行者には不法投棄したものをすべて改善し、原状回復を行うほどの資金的な余裕がなかったとします。
こういったケースでは、現状のまま放置してしまうと周囲の環境に悪影響をおよぼしてしまうようなことも珍しくありません。
このような場合は、資金が尽きている対象の業者に任せてしまうのではなく、税金を投入する形で行政が対応します。
税金で支払った経費は行政から本来であれば対応すべきだった業者に請求されるのですが、現実的には回収が難しく、不良債権となってしまうケースが多いです。
不良債権となれば、税金が無駄になってしまいます。
こういったことがないように産業廃棄物処理業者は日頃から正しい形で業務に取り組んでいくことが求められるのはもちろん、排出事業者においてはできる限り廃棄物を出さない取り組みが必要になるでしょう。
産業廃棄物処理業が健全な企業活動を行うために
すべての産業廃棄物処理業者は健全な企業活動を行うことが求められます。
ですが、実際には適正な対応ができず、行政指導や行政処分につながってしまうことも珍しくありません。
そこで、どうすれば健全な企業活動を継続できるのかポイントを見ていきましょう。
属人化を解消する
業務の属人化が起こっている場合は、担当者が不在の際に現場がうまく回らなくなってしまいます。
急な退職などにより引き継ぎもできない状態になると、業務が滞ってしまう可能性が高いです。
そのため、属人化の解消に取り組んでいきましょう。
属人化解消のためには人材の確保も必要になります。
ただし、産業廃棄物処理業界では新規人材の獲得に苦戦している企業も多く、人材を確保しようにもそれができずにいるケースも多いです。
こういった場合も人員配置の見直しや、便利なツールを導入して人が行う必要がない部分はデジタル化するなどして対応していきましょう。
業務の可視化
健全な企業活動のためには、一部の従業員のみが行える作業を減らすだけではなく、不透明になっている作業も明らかにしていくと良いでしょう。
そのために行いたいのが、業務の可視化です。
例えば、行政処分や行政指導を受けるような事態を防ぐためには、法令遵守の徹底を行っていかなければなりません。
業務を可視化することによって現在本当に法令遵守ができているのか、見直しが必要なところはないか、なども見えてきます。
業務が可視化できれば従業員も各業務の取り組み方などを理解しやすくなるので、独断による間違った対応を避け、適正な業務推進を促すことにもなるでしょう。
産廃ソフトを導入する
自社に合った産廃ソフトの導入もおすすめです。
システムの導入により、業務を一元管理しやすくなります。
産業廃棄物処理業では行わなければならない業務の種類が多く複雑です。
中には適切に管理できていない業務もあるかもしれません。
ですが、一気通貫で各業務を管理できるような産廃ソフトを導入すれば、そういった懸念が解消されます。
各社で必要としている機能は異なるので、産廃ソフトを導入する際は自社に適したものを取り入れていくことが重要です。
行政処分の内容を理解し、正しく対応することが重要
いかがだったでしょうか。
産業廃棄物処理業者が理解しておくべき行政処分や行政指導について解説しました。
万が一自社で対応が必要になったときのために正しく理解し、適正に対処することが求められます。
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