産業廃棄物処理業界の経理業務の負担はなぜ減らない?― 請求管理とマニフェスト管理の見直しで変わること
トピックス TOPICS
現場オペレーション
コラム
産廃管理システムの入れ替えで失敗しない5つのポイント|データ移行の注意点
長年使ってきた産廃管理システムに、不便を感じることはありませんか。
「入力や確認に時間がかかる」
「他のシステムとの連携がうまくいかない」
「保守・サポートの終了が近づいている」
こうした課題をきっかけに、産廃管理システムの入れ替えや更新を検討する企業は少なくありません。
しかし、システムの入れ替えには、顧客情報や取引履歴などのデータ移行だけでなく、受付・計量・請求といった日常業務への影響も考慮する必要があります。
本記事では、産廃管理システムの入れ替えで起こりやすい問題と、失敗を防ぐための5つのポイントを解説します。
産廃管理システムの入れ替えで起こりやすい3つの問題
産廃管理システムは、顧客・契約情報の管理をはじめ、計量、マニフェスト管理、請求処理など、日々のさまざまな業務を支えています。
そのため、長年使用してきたシステムを入れ替える際は、既存データの移行だけでなく、現場業務への影響にも注意が必要です。
まずは、システムの入れ替えで起こりやすい3つの問題を見ていきましょう。
旧システムのデータを引き継げない場合がある
産廃管理システムには、顧客・契約情報や、廃棄物の種類、処理単価、計量記録、取引履歴など、日々の業務で蓄積された多くのデータが保存されています。
しかし、旧システムと新システムでは、データの形式や管理項目が異なる場合があります。
例えば、顧客情報を法人単位で管理するシステムもあれば、事業所単位で管理するシステムもあります。
また、取引先ごとに設定した処理単価や請求条件を、新システムへそのまま引き継げるとは限りません。
こうした違いを把握せずにデータ移行を進めると、情報の欠落や重複、請求金額の不一致などが生じるおそれがあります。
システムの切り替えで日常業務に支障が出る
廃棄物処理・リサイクル業では、搬入受付や計量、収集運搬、マニフェスト管理、請求処理など、日々さまざまな業務が行われています。
産廃管理システムの切り替え時に必要な情報を確認できなくなると、受付や伝票発行、請求処理などに支障が出る可能性があります。
例えば、月末の請求締めとシステムの切り替え作業が重なれば、担当者は通常業務と並行して移行作業を進めなければなりません。
その結果、作業の遅れや確認漏れにつながることも考えられます。
また、産廃管理システムを計量器や会計システムなどと連携している場合は、新システムへの切り替えに伴って、データの受け渡しに問題が生じる可能性もあります。
新システムの操作に慣れるまで時間がかかる
新しいシステムに必要な機能がそろっていても、現場担当者が操作に慣れるまでには時間がかかります。
特に、長年同じシステムを使っている企業では、独自の入力ルールや確認方法が定着していることもあります。
産廃管理システムの入れ替えによって入力画面や伝票の発行手順などが変わると、作業に時間がかかったり、入力ミスが発生したりする可能性があります。
こうした混乱を防ぐためにも、導入前に現場担当者が新システムを操作する機会を設け、操作方法や業務手順を確認しておくことが大切です。
産廃管理システムの入れ替えで失敗しない5つのポイント
産廃管理システムの入れ替えをスムーズに進めるには、新システムの機能や価格だけでなく、既存データの移行方法や外部システムとの連携、導入後の運用まで検討する必要があります。
ここでは、システムの入れ替えで押さえておきたい5つのポイントを紹介します。
①システムを入れ替える目的を明確にする
まずは、現在の産廃管理システムにどのような課題があり、システムの入れ替えによって何を改善したいのかを整理しましょう。
よくある入れ替え理由
・現在のシステムの保守・サポートが終了する
・計量データと請求情報の照合に時間がかかる
・部署ごとに情報が分散し、確認に手間がかかる
・JWNET(※)や会計システムとの連携を見直したい
・事業拡大に伴い、現在のシステムでは対応しきれない
※公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが運営する電子マニフェストシステム
課題を洗い出したら、改善したい内容を次の3つに分けて優先順位をつけます。
A.必ず改善したいこと
B.できれば改善したいこと
C.将来的に実現したいこと
すべての要望を一度に実現しようとすると、追加開発や設定作業が増え、導入期間や費用が膨らむ可能性があります。
また、経営層と現場担当者では、システムに求める機能や使いやすさが異なることもあります。
関係者の意見をすり合わせ、システムの入れ替えで優先する課題を明確にしておくことが、システムの選定や導入計画を進めるうえで大切です。
②新システムへ移行するデータを整理する
産廃管理システムの入れ替えや更新では、既存データの移行が重要な検討事項になります。
まずは、現在のシステムで管理している情報を洗い出し、新システムへ移行するデータの種類や範囲を整理しましょう。
|
データの種類 |
主な確認事項 |
|
顧客・取引先情報 |
法人・事業所の管理方法、重複データの有無 |
|
契約情報 |
契約期間、処理品目、契約条件 |
|
単価情報 |
取引先別単価、個別の料金設定 |
|
計量・取引履歴 |
移行対象期間、データ形式 |
|
マニフェスト関連情報 |
管理項目、履歴の保存・確認方法 |
|
請求・売上情報 |
締め日、請求条件、未処理データ |
必ずしもすべてのデータを新システムへ移行する必要はありません。
例えば、日常業務で使用する顧客・契約情報は新システムへ移し、過去の取引履歴は必要に応じて参照できる形で保存する方法もあります。
ただし、法令で保存が義務付けられている情報については、保存期間や管理方法を確認し、引き続き適切に管理できる状態にしておく必要があります。
また、データ移行前にはバックアップを取得し、移行後はデータの欠落や重複がないか、単価や請求条件が正しく反映されているかを照合しましょう。
③外部システムとの連携を確認する
産廃管理システムは、計量器や会計システムなど、他の機器・システムと連携して利用されることがあります。
主な連携先
・JWNET
・計量器・計量システム
・会計・請求システム
・販売管理・顧客管理システム
・自社独自の業務システム
新しいシステムを選ぶ際は、現在利用している連携機能を引き続き使えるか、設定変更や追加開発が必要になるかを確認しましょう。
特にJWNETとの連携では、接続方式や利用できる機能に注意が必要です。
JWNETには、他の業務システムと電子マニフェストの情報をやり取りする「EDI方式」という連携方法があります。
EDI方式を利用すると、産廃管理システムから電子マニフェスト情報の登録や照会などを行える場合があります。
ただし、連携できる機能や操作の範囲は、利用するシステムによって異なります。
そのため、単に「JWNETと連携できるか」だけでなく、自社で必要な登録・照会などの操作に対応しているか、現在の運用方法から変更が生じるかまで確認しておきましょう。
また、2027年4月からは、電子マニフェストの処分終了報告などに、「再資源化等の情報」として、処分方法や処分方法ごとの処分量、処理後物の種類・量などの報告項目が追加されます。
システムの入れ替えを検討する際は、こうした制度変更への対応状況も確認しておくことが大切です。
④新システムの本稼働前にテストを行う
新システムへの切り替え前には、実際の業務を想定したテストを行い、データや各機能が正しく動作するかを確かめましょう。
主な確認項目
・顧客・契約情報が正しく移行されているか
・計量データが正しく登録・連携されるか
・契約条件に沿った請求金額が算出されるか
・マニフェスト関連情報を適切に管理できるか
・必要な帳票を出力できるか
通常の取引だけでなく、単価変更やスポット案件など、例外的な処理も試しておくと、本稼働後のトラブルを減らすことにつながります。
また、システムの切り替え方法には、旧システムと新システムを一定期間並行して使用する方法や、部署・業務ごとに段階的に移行する方法などがあります。
ただし、並行運用では二重入力やデータの不一致が起こる可能性もあるため、どちらのシステムに情報を登録・更新するか、あらかじめルールを決めておくことが大切です。
繁忙期や請求締めの時期も考慮し、トラブル発生時の対応方法まで含めて切り替え計画を立てましょう。
⑤導入後のサポート体制も確認する
新しい産廃管理システムは、実際に使い始めてから操作上の疑問や改善したい点が見つかることもあります。
そのため、システムの機能や導入費用だけでなく、導入後にどのような支援を受けられるかも確認しておきましょう。
主な確認項目
・操作研修やマニュアルの提供
・問い合わせ窓口と対応時間
・トラブル発生時の対応方法
・設定変更や追加開発への対応
・稼働後の運用改善に関する相談体制
また、本稼働前のテストや操作研修には、実際にシステムを利用する現場担当者にも参加してもらうとよいでしょう。
日常業務に沿って操作を確認することで、導入前には気づかなかった課題が見つかる場合もあります。
産廃管理システムは長期間使用することが多いため、導入時だけでなく、運用開始後も継続して相談できるシステム会社を選ぶことが大切です。
『環境将軍R』への移行事例
実際に産廃管理システムを入れ替えた企業は、どのような準備を行い、新しいシステムへ移行したのでしょうか。
ここでは、JEMSの『環境将軍R』へ移行した2社の事例を紹介します。
株式会社シンシア様|優先順位を整理し、約1年で移行
株式会社シンシア様は、長年使用してきたシステムから『環境将軍R』へ移行しました。
基幹システムの刷新に合わせ、JEMSの担当SEと打ち合わせを重ね、必要な機能の優先順位を整理。
計画的に移行を進め、約1年で『環境将軍R』への切り替えを実現しました。
株式会社リバイブ様|現場の使いやすさを重視して移行
株式会社リバイブ様は、従来の『リサイクル将軍』から『環境将軍R』へ移行しました。
移行にあたっては、現場担当者の使いやすさを重視して、操作画面や入力項目を調整。
実際の業務に合わせて、使いやすい環境を整えました。
両社に共通するのは、従来の業務をそのまま新システムに引き継ぐのではなく、必要な機能や現場の使いやすさを考慮しながら移行を進めた点です。
システムの入れ替えでは、導入までのスケジュールや現場の運用状況に合わせて、必要な機能や対応の優先順位を整理することが重要です。
産廃管理システムの入れ替えに関するよくある質問
Q1.古い産廃管理システムからでもデータを移行できますか?
古いシステムからでもデータを移行できる場合があります。
ただし、データ形式や管理項目によって、必要な作業が異なります。
事前にデータの内容や移行できる範囲を確認することが大切です。
『環境将軍R』への入れ替えをご検討の場合は、JEMSが現在お使いのシステムやデータの管理状況を確認し、移行の可否や具体的な対応方法をご案内します。
Q2.産廃管理システムの入れ替えにはどれくらいの期間がかかりますか?
システムの入れ替えに必要な期間は、移行するデータの量や業務範囲、外部システムとの連携、追加開発の有無などによって異なります。
JEMSでは、現在お使いのシステムや業務内容、データの管理状況などを確認したうえで、移行に必要な作業やスケジュールをご案内します。
Q3.業務を止めずにシステムを切り替えることはできますか?
旧システムと新システムを一定期間並行して使用したり、業務ごとに段階的に切り替えたりすることで、業務を止めずに移行できる場合があります。
Q4.JWNETと連携している場合、システムの入れ替えで設定変更は必要ですか?
JWNETとの連携方式や新システムの仕様によっては、接続設定の変更が必要になる場合があります。
特にEDI方式を利用している場合は、電子マニフェストの登録・照会など、現在利用している機能を引き続き使えるか確認することが大切です。
Q5.旧システムの開発会社がなくなっていても、データ移行はできますか?
旧システムの開発会社によるサポートが受けられない場合でも、必要なデータを取り出せれば、新システムへ移行できる可能性があります。
ただし、データの形式や管理方法によっては、移行が難しい場合もあります。
JEMSでは、現在利用できるデータやバックアップの状況を確認し、『環境将軍R』への移行の可否や対応方法を検討します。
Q6.産廃管理システムの入れ替え時に、業務フローも変更する必要がありますか?
必ずしも、すべての業務フローを変更する必要はありませんが、新システムの機能や操作方法に合わせて、一部の手順を見直す場合もあります。
JEMSでは、従来の業務で継続したい部分と、新システムの導入を機に改善したい部分を整理しながら、現場の運用状況に合わせた『環境将軍R』の活用方法をご提案します。
まとめ
産廃管理システムの入れ替えでは、既存データの移行や外部システムとの連携、現場業務への影響など、さまざまな点を考慮する必要があります。
まずは現在のシステムが抱える課題を整理し、改善したい業務や必要な機能を明確にすることが大切です。
そのうえで、データ移行やシステムの切り替えについて計画を立て、十分な準備を進めましょう。
JEMSが提供する『環境将軍R』は、産業廃棄物処理業における受付・計量・マニフェスト管理・請求など、幅広い業務を支援するシステムです。
JWNETをはじめ、さまざまな外部システムとの連携にも対応しており、業務情報の一元管理や作業の効率化を支援します。
また、システムの入れ替えに伴う課題や、現場の業務に合わせた運用方法についてもご相談いただけます。
現在の産廃管理システムに課題を感じている方や、保守・サポートの終了をきっかけに入れ替えを検討されている方は、ぜひJEMSへご相談ください。
※出典
・公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター「EDI方式のご案内」
・公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター「EDIシステムを構築する」
・公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター「電子マニフェストの項目追加に関する対応について」



