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サーキュラーエコノミーとは?必要な理由や3Rとの違いなどを解説

2023/09/13

  • サーキュラーエコノミー
  • 循環型
  • 資源循環

はじめに

廃棄物の削減は企業にとって重要な課題です。世界的に廃棄物を可能な限り発生させない経済活動が模索されており、サーキュラーエコノミーに注目が集まっています。

 

この記事では、サーキュラーエコノミーが必要とされる背景や3つの原則のほか、3R・リニアエコノミーとの違い、サーキュラーエコノミー構築を目指す際のポイントなどについて解説します。

サーキュラーエコノミーは新しい経済活動の仕組み

サーキュラーエコノミーは、日本語で「循環経済」を意味し、資源を循環させ、廃棄を防ぐことによって実現する、新しい形の経済活動の仕組みです。使い終えた製品を廃棄するのではなく資源として循環させることで、限りある資源の投入量や消費量を抑えられます。今あるストックを最大限に活かし、新たな付加価値を生み出し出していくのがサーキュラーエコノミーの経済活動です。

 

従来の経済活動では、資源から作られた製品を使用し、不要になったり壊れたりすると廃棄し、新しい製品置き換えていました。しかし、サーキュラーエコノミーでは、不要になったり壊れたりした製品を資源として循環させることで、新たな資源の消費を抑え、廃棄を可能な限り減らします。

サーキュラーエコノミーが必要とされる背景

サーキュラーエコノミーが必要とされる背景には、深刻な環境問題があります。大量生産、大量消費を前提とした社会は、大量の廃棄物の発生と資源不足の原因となっています。また、地球上の人口は年々増加しており、GDPも増加を続けるでしょう。それに伴い、廃棄物の発生量も増加しており、対策を何もとらなければ、今後も増加の一途をたどっていく可能性があります。増え続ける廃棄物を焼却処理すれば、大気汚染の原因になり、石油も大量に消費することになります。また、廃棄物の海中や地中への投棄は、水質汚染や土壌汚染、海洋ゴミの増加といった問題を引き起こします。

 

さらに、資源を使い続ける経済活動が持続すれば、ますます資源不足が深刻になっていくと想定され、過剰な森林伐採や資源の採取は、生態系の乱れや環境問題、気候の変動などの原因となります。こうした問題を解決するためには、世界全体が大量生産・大量消費を前提とした経済活動を改め、資源を循環利用し、廃棄物を出さないサーキュラーエコノミーを実現する必要があるのです。

企業活動におけるサーキュラーエコノミーの必要性

企業にとっても、サーキュラーエコノミーが必要となるのは、さまざまな製品の原材料不足が課題となっているからです。今後さらに、原材料不足が深刻になっていけば、原材料の確保が困難になったり、価格が高騰したりする可能性が高いでしょう。経営を持続させていくためには、新たな資源の消費を最小限に抑えて、資源を循環させるサーキュラーエコノミーが効果的です。

 

また、サーキュラーエコノミーへの取り組みを積極的に行うことで、社会的責任を果たすとともに、環境問題を意識した経営を行う企業というブランディングにもつながるため、企業の新たな競争力となる可能性があります。

サーキュラーエコノミーの3原則

サーキュラーエコノミーを推進する国際的な団体であるエレン・マッカーサー財団では、「サーキュラーエコノミーの3原則」を定めています。3原則を構成するそれぞれの要素について解説します。

 

<サーキュラーエコノミーの3原則>

Eliminate waste and pollution:廃棄や汚染をなくす

Circulate products and materials:製品・素材を循環させる

Regenerate nature:自然を再生する

 

 

Eliminate waste and pollution:廃棄や汚染をなく

サーキュラーエコノミーの1つ目の原則は、廃棄や汚染をなくすことです。廃棄や汚染をなくすためには、製品の開発や製造の過程を見直す必要があります。廃棄や汚染につながらない製品を設計・製造しなければなりません。原材料の調達、製品の製造、販売といった各工程で、廃棄する部材や梱包材などが発生するのを防ぎ、環境汚染を起こさない方法を検討しましょう。

さらに、製品を販売した後、消費者が利用した後の商品についても、リサイクルを前提に商品設計をする必要があります。消費者が使い終わった商品を廃棄物にするのではなく、再度資源として循環できる体制づくりが求められます。さらに、循環の過程で汚染が起こらないよう、エネルギーの消費を抑える方法を検討しなければいけません。

 

Circulate products and materials:製品・素材を高い価値のまま循環させる

製品・素材を高い価値のまま循環させることが、サーキュラーエコノミーの2つ目の原則です。製品や素材を循環させるということは、製品や素材のリサイクルの徹底を意味します。使い終えた商品や、不要になった商品をリサイクルしたり、修理やリメイクできる体制を整えたりすることで、新たな資源の消費を抑え、製品やその素材を最大限活用することができるでしょう。

さらに、修理ができなくなった商品についても、新たな商品を生み出すための資源として活用します。製品や素材の循環を行うためには、リメイクや修理、リサイクルを前提とした製品設計が必須です。製品や素材の価値をできるだけ損なわずに循環できる仕組みづくりが求められます。

 

Regenerate nature:自然を再生させる

サーキュラーエコノミーの3つ目の原則は、自然を再生させることです。資源を消費し続けるのではなく、一度利用した資源を再度循環させて使い続けることは、自然の再生にもつながります。自然には再生能力がありますが、資源の大量消費を継続していけば、消費スピードが再生能力を上回って生態系の乱れなどを引き起こします。サーキュラーエコノミーによって資源を循環させ、消費を抑えることで、自然の再生を後押しできるでしょう。

サーキュラーエコノミーと3Rの違い

サーキュラーエコノミーと3Rには、廃棄物の発生を前提としているかどうかという違いがあります。サーキュラーエコノミーは廃棄物が発生しない経済活動であるのに対し、3Rは廃棄物の発生を前提とした、環境保全のための活動です。3Rは「Reduce(リデュース)」「Reuse(リユース)」「Recycle(リサイクル)」の3つを意味する言葉で、リデュースは廃棄物の発生を減らす製品づくり、リユースは製品の再利用、リサイクルは廃棄物の資源としての再利用を意味しています。

 

また、「リサイクルショップ」などのように、リサイクルがリユースの意味で使われることもありますが、3Rにおいては、不用品をそのままの形で別の消費者に譲るのがリユース、不用品を資源ゴミに出して別の製品にするのがリサイクルです。3Rは、環境問題の改善や廃棄物の減少のために行われる活動ですが、3Rではリサイクルできないものは最終的に廃棄されます。リデュースについても、廃棄物の発生を「減らす」ことを目指しますが、なくすわけではありません。

 

一方のサーキュラーエコノミーは、廃棄と汚染をなくすことを三原則のひとつとして掲げています。そもそもの製品設計を変えることで、廃棄や汚染が起こらない製品を作り、循環させていくのがサーキュラーエコノミーの考え方です。

サーキュラーエコノミーとリニアエコノミーの違い

サーキュラーエコノミーに対し、従来型の経済をリニアエコノミーと呼びます。リニアエコノミーには、原材料を無尽蔵に消費することによる、資源の枯渇と廃棄物の増加という大きな問題があります。その問題を解決するため、新たな経済活動の在り方として、サーキュラーエコノミーが提唱されるようになりました。サーキュラーエコノミーでも、原材料を元に製品を作成することは同一です。

 

しかし、消費者が製品を使用した後は、廃棄することなく商品をリサイクルします。リサイクルされた資源を活かすことで、新たな製品が生まれ、廃棄物を出すことなく経済が循環していきます。サーキュラーエコノミーが実現すれば、原材料を必要最小限に抑えるとともに、新たな廃棄物の発生しない社会の構築が可能です。

 

出典:オランダ政府 From a linear to a circular economy

企業がサーキュラーエコノミー構築を目指す際のポイント

サーキュラーエコノミーを成功させるためには、いくつか抑えておくべきポイントがあります。これからサーキュラーエコノミーの構築を目指す企業は、以下の4点を意識した事業計画を立てましょう。

 

循環視点を持つ

企業がサーキュラーエコノミー構築を目指す際には、循環視点を持つことが重要です。サーキュラーエコノミーでは、廃棄物を出さないことを前提としたサイクルを構築する必要があります。そのため、最終的に製品が廃棄物にならないように、再利用できる仕組みを整えなければいけません。

環境問題の解決方法として、環境に配慮した素材の利用が挙げられることがあります。しかし、環境に配慮した素材を利用したとしても、その素材を使った製品が使用後に廃棄されるようでは、サーキュラーエコノミーにはなりません。サーキュラーエコノミーのためには、製品を作成する段階から、製品の再利用と循環のための設計を行う必要があります。原材料の調達について配慮するだけでなく、製品を作った後の循環の視点を持つことが大切です。

 

回収網を構築する

企業がサーキュラーエコノミー構築を目指す際は、回収網を構築することも欠かせません。サーキュラーエコノミーでは、消費者が使用した製品を回収し、循環させる必要があります。また、消費者が製品を廃棄してしまわないように、企業は自社の製品の回収網を構築することが重要です。さらに、回収した製品を原料として活用したり、リユースしたりするための設備も必要になるでしょう。

従来のリニアエコノミーでは、通常、製品を販売して代金を回収すれば取引が完了します。アフターフォローやメンテナンスなどをすることがあっても、製品が不要になったり、保証期限後に壊れたりした場合は、消費者が廃棄することもあります。しかし、サーキュラーエコノミーでは、製品の回収と、回収した製品の活用までが求められます。

 

他社と協業する

企業がサーキュラーエコノミー構築を目指すにあたっては、他社との協業も積極的に検討しましょう。消費者が使い終えた製品を回収し、再度資源や製品として活用できるように循環させていくシステムを構築するためには、他社との協業が効果的です。資源循環や製品の回収といったサービスのノウハウを持つ企業と協業することで、自社製品に適した資源の循環方法を見つけられる可能性が高まります。また、資源の回収にも、幅広い輸送ネットワークを持つ企業との協力が必須です。複数の企業と連携を取ることで、効率良く資源を循環させましょう。

 

社内外への情報を発信する

社内外に向けた積極的な情報発信も、サーキュラーエコノミーに取り組む際に重要になります。サーキュラーエコノミーの日本への浸透度は、いまだそれほど高くありません。自社の取り組みを広く発信することで、社会にサーキュラーエコノミーの考え方を浸透させる効果が期待できます。同時に、自然環境や資源の枯渇といった問題に真摯に取り組む姿勢をアピールすることもでき、企業イメージの向上にもつながるでしょう。

サーキュラーエコノミーへの取り組みのため
ソリューションの活用を検討しよう

廃棄物の削減などの取り組みを進めることで、企業もサーキュラーエコノミーに貢献することが可能です。一方で、自社のみでは、何から着手すれば良いかわからなかったり、適切な方法が見つからなかったりすることもあるでしょう。

 

JEMSでは、企業のサーキュラーエコノミーへの取り組みに貢献するソリューションを提供しています。Circular Naviは、企業のサプライチェーンのトレーサビリティーや再資源化率の可視化などによって、製品ごとに環境価値を提示することができます。ぜひ、Circular Naviをご活用ください。

 

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