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【建設業界】サーキュラーエコノミーの推進事例を紹介

2023/12/27

2024/3/16

大量生産・大量消費を前提とした従来の経済システムは、多量の廃棄物を排出する構造上、自然界に甚大な被害をもたらします。

この環境問題を解決するために、世界中の企業がサーキュラーエコノミーへの取り組みを推進しており、建設業界も例外ではありません。

 

本記事では、サーキュラーエコノミーの概要と、建設業界における推進事例を紹介します。

環境問題への取り組みを目指している建設会社の担当者様は、ぜひご覧ください。

 

企業のサーキュラーエコノミー・資源循環の取り組みをDXでサポート

サーキュラーエコノミーの概要

サーキュラーエコノミー(Circular Economy)とは、既存の資源を有効活用し、新たな資源の投入と消費を抑える、新しい経済システムです。

日本語で「循環経済」や「循環型経済」と訳されます。

 

「リニアエコノミー」とよばれる従来の経済システムは、大量生産・大量消費を前提としており、「資源の抽出→製造→利用→廃棄」の流れが一方向で進められます。

リニアエコノミーを継続すれば、地球温暖化や海洋プラスチック汚染などの環境問題が深刻化するだけでなく、いずれ地球上の資源やエネルギーが枯渇しかねません。

 

その点、サーキュラーエコノミーは、リサイクルやシェアリングによって、一度消費した製品を新たな資源として循環させて、廃棄物0を目指します。

 

関連記事:サーキュラーエコノミーとは?3原則や取り組みを解説

建設業界が抱える課題

建設では、大量の資材を要すると同時に、多くの廃棄物を排出します。

 

建設資材である木材を採取するためには、木々を伐採しなければなりません。

文明の高度化にともない爆発的に増えた人間の住居をまかなうには、途方もない量の木材が必要になります。

 

大量の木材を消費するのは、木造建築が主流の日本だけではなく、レンガ造りが多い西洋でも同様です。

レンガは、固めた粘土を窯で焼くことで製造されますが、その燃料として大量の薪が使われます。

レンガの焼成時には、木造建築よりはるかに多い木材を燃やさなければならないのです。

 

また、建築物の建て替えや道路の張り替え時には、多量のコンクリート塊やアスファルト塊、木材などが排出されます。

これらは「建設副産物」とよばれており、可能な限り再利用する方針はとられているものの、その大半が廃棄物として処理されているのが実情です。

くわえて、廃棄物の処理には費用がかかるため、不法投棄の事例があとを絶たず、環境破壊の一因となっています。

 

このように、資源の大量消費と廃棄物の大量発生が前提とされる建設業界こそ、サーキュラーエコノミーへの取り組みが急務といえます。

サーキュラーエコノミーを推進することで建設企業が得られるメリット

サーキュラーエコノミーを推進するには、企業ごとの工夫や根本的な改革が必要です。

実施すれば、以下のメリットが得られます。

 

メリット①木材など建材の高騰・枯渇に対するソリューションとなる

建設業界では、新型コロナウイルスの蔓延や、ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに、資材の高騰や枯渇に見舞われています。

 

2020年頃から始まった新型コロナウイルスの蔓延による、リモートワーク人口の増加や経済政策の影響で、アメリカと中国で住宅建築の需要が急拡大しました。

その結果、世界的な木材不足に陥り、資材の価格が高騰する「ウッドショック」が発生します。

さらに日本では、多くの資材をロシアからの輸入に頼っていましたが、経済制裁により輸入ができなくなり、需要と供給のバランスが崩れ、価格の高騰が生じているのです。

 

このような建設業界に関する深刻な資源の問題も、サーキュラーエコノミーへの取り組みが解決の手立てになり得ます。

たとえば、空き家となった建築物を解体し、部材を再利用することも可能です。

近年では、建設時から「解体」を視野に入れ、解体時にすべての資材が再活用できる工夫が取り入れられた建物が増えています。

 

このような取り組みを企業内で推進できれば、世界情勢の影響による資材の高騰や枯渇に左右されにくい、安定した資源調達が可能になります。

 

メリット②コストカットが図れる

資材を再利用して無駄を省けば、建設時に必要な資源の投入量と消費量が抑えられます。

新たな資材を使用しないぶん、仕入れコストが削減できますし、廃棄物が発生しなければその処理にかかるコストも抑えられます。

 

前項でも解説したような、世界情勢に関連した原材料の高騰による影響も受けにくくなるため、よりサステナブルな経営が行えるでしょう。

 

メリット③企業・ブランドイメージの向上につながる

企業がサーキュラーエコノミーに取り組む姿勢は、消費者に対してポジティブな印象を与えます。

 

地球温暖化によるさまざまな異常気象の発生を受け、環境問題への取り組みは世界的な潮流になっています。

これは民間企業も例外ではありません。

 

従来のように利益を追求するだけでなく、環境問題にも配慮した経営が求められています。

業務を通じて環境問題に取り組むことは、慈善活動とは異なり、企業が経済活動を続けるにあたっての、社会的責任として認識されつつあるのです。

 

環境問題に対する消費者の意識が変わるなかで、サーキュラーエコノミーの推進を公言すれば、企業・ブランドイメージの向上が見込めます。

「建設×サーキュラーエコノミー」の実現に有効な取り組み

サーキュラーエコノミーを実現するには、資源を廃棄せず、一定の価値を保持したまま循環のサイクルに戻すことが重要です。
建設業界で資源の循環を取り入れるには、以下4つのポイントを取り入れるのが有効とされています。

 

【建設業界におけるサーキュラーエコノミーの実現に有効な取り組み】

  1. 既存建物の利活用
  2. 解体・再構築の容易性
  3. 資材の削減
  4. バイオベースな資材の活用

 

建設業界でもっとも効力が高いとされる施策は、既存建物の利活用です。
メンテナンスや軽度な補修を継続的に行い、建物を使いつづけることがサーキュラーエコノミーを推進するうえで大切になります。
使用しなくなった建物をリノベーションして、再度、使える状態に戻すのも有効な取り組みの一環といえるでしょう。

 

また、建てることだけでなく、解体にも目を向けたいところです。
釘や接着剤を使用した建物は、解体時の分別が難しいうえに、資材にダメージを与えかねません。
一方で、建設時から解体することを考慮し、使用している建材をきれいに取り出せる工夫を凝らしておけば、資材の再利用が容易になります。
その結果、解体時に廃棄物が排出されないというわけです。

 

そのほかにも、3Dプリンターの活用による資材の量の削減や、再生可能な原料に由来するバイオベース資材の使用もサーキュラーエコノミーを推進する取り組みになります。

【建設業界】サーキュラーエコノミーへの取り組み事例

ここからは、サーキュラーエコノミーに取り組む建設会社の取り組み事例を6つ、紹介します。

なお、本記事内で紹介する事例は、あくまで一般的に有名な企業の取り組みであり、株式会社JEMSの事例ではありません。

 

大成建設

1873年に創業して以来、日本の建設業界の最前線を進むのが大成建設です。

国内外の建築・土木の設計や施工、そのほか幅広い分野で事業展開をしてきました。

 

そんな大成建設は「人がいきいきとする環境を創造する」という理念のもと、自然と調和した社会資本の形成に取り組んでいます。

2050年に向けて、グループ長期環境目標「TAISEI Green Target 2050」を定め、脱炭素社会と循環型社会、自然共生社会を目指しています。

 

サーキュラーエコノミーをベースにした循環型社会の実現に向けて、大成建設では、環境負荷の小さい資材を優先的に選択する「グリーン調達率100%」を目標に掲げました。

そのほかにも、CO2排出率の削減や土壌・地下水汚染の対策を講じるなど、環境問題に前向きな姿勢を示しています。

 

参照元 :TAISEI Green Target 2050|持続可能な環境配慮型社会の実現|環境|大成建設サステナビリティ

 

竹中工務店

1610年創業と長い歴史をもつ竹中工務店は、国内外における土木・建築事業を中心に事業展開する大手総合建設会社です。

 

竹中工務店は、日本の建設業界の「スクラップ&ビルド」の考え方から脱却し、サステナブルな社会を実現するための「サーキュラーデザインビルド™」を設定し、活動しています。

 

福岡県の既存商業施設を活用し、高層住宅を建築した「BRILLIA TOWER 西新」が好事例です。

また、大阪万博に向けて分解可能な仮設建築「Seeds Paper Pavilion」の構想を発表しました。

Seeds Paper Pavilionは、自然由来の構造材を使用します。

仕上げ材には牛乳パックを主原料に、草木の種を混ぜ込んだシーズペーパーを用います。

3Dプリントした構造材に、仕上げ材を張り付けることで、生分解可能な仮設建築を構築するのです。

万博終了後には、徐々に朽ち始め、いずれは森になります。

 

特定期間で役目を終える建築物は、多くの廃棄物を排出する点が大きな課題でしたが、Seeds Paper Pavilionなら、環境に負荷をかけない建設を実現できます。

 

参照元:with TAKENAKA まちづくりEXPO in 2023

 

鹿島建設

東京に本社を据える鹿島建設も、サーキュラーエコノミーへの取り組みを示す建設会社の一つです。

 

鹿島建設は、持続可能な社会を「脱炭素」「資源循環」「自然共生」と、3つの視点で捉え、独自のビジョン「トリプルZero2050」を策定しました。

トリプルZero2050の策定は2013年に行われたものの、その後の社会情勢に合わせ、2018年、2021年、2023年と都度、目標の改訂を行っています。

 

資源の循環に対する目標として「建設廃棄物最終処分率0%」を掲げ、セメントやコンクリートなど、再生材料の利用率60%を目指します。

 

その一環として、工場現場などで排出される戻りコンを原材料として再利用する「エコクリート®R3」の開発に加わり、画期的なコンクリート製造技術の確立に至りました。

これまで有効活用の手段がなく、廃棄処分されるだけだった戻りコンを、別のコンクリートの製造に再利用する、他に類を見ない技術です。

 

このような新しい技術の開発も、サステナブルな建設に欠かせない要素の一つです。

 

参照元:鹿島環境ビジョン:トリプルZero2050 | サステナビリティ | 鹿島建設株式会社

 

東急不動産

日本の代表的な不動産会社である東急不動産は、サーキュラーエコノミーの実現を目指した複合施設の建設を発表しました。

 

それは、2023年10月に開業した「Forestgate Daikanyama」です。

Forestgate Daikanyamaは、MAIN棟とTENOHA棟の全2棟で構成されています。

MAIN棟は「グリーン・サステナブルや食をはじめとしたさまざまな事業を育むこと」をテーマにしており、賃貸住宅とシェアオフィス、商業施設が入ります。

一方、TENOHA棟には、カフェとイベントスペースが設置されました。

サーキュラーエコノミー活動を展開する事業者や行政と連携し、サステナブルな活動の拠点とすることが想定された建物です。

 

構造材には、森林や山の間伐を行った際に生じる「間伐材」を使用しています。

自然を守るうえで欠かせない間伐ですが、間伐材自体の需要は低く、切り倒した樹林の放置が問題視されており、いかに利活用できるかが環境保全の課題として挙がっています。

 

また、解体時にすべて分解移築して再建築できる構造システムが採用されました。

 

環境問題の解決を推進しつつ、新たな価値とライフスタイルを創造する取り組みといえます。

 

参照元:広域渋谷圏で『職・住・遊 近接の新しいライフスタイル』を提案する新複合施設「Forestgate Daikanyama(フォレストゲート代官山)」本日10月19日(木)グランドオープン|ニュースリリース|東急不動産

 

DIOR

世界的ラグジュアリーブランド「DIOR」も、サステナブルな建築物を活用しているのをご存じでしょうか?

 

ドバイのビーチに建てられたコンセプトストアは、粘土や砂、天然繊維を組み合わせた自然素材を活用し、3Dプリンターを用いて作成されました。

建設に携わったのはイタリアの3Dプリント企業「WASP」です。

 

2つの円形モジュールで構成されており、壁にはDIORの代表的なモチーフであるカナージュ模様が施されています。

 

高級ブランドらしい繊細な装飾を取り入れつつ、環境にも配慮した最先端の建設技術です。

自然由来の持続可能な製品の開発にも力を入れており、企業が一体となってサステナブルな課題に取り組んでいます。

 

参照元:クリスチャン・ディオール・クチュール、WASP社とのコラボレーションによるユニークなコンセプトストアを披露 – LVMH

 

Sanu

2019年に設立されたSanuは、「自然の中で生活を営むためのもう一つの家」と称したセカンドホーム・サブスクリプションサービスを提供するライフスタイル・ブランドです。

 

独自の環境再生型プログラム「FORESTS FOR FUTURE」を実行し、CO2の排出量よりも吸収する量が多い「カーボンネガティブ」の実現を目指しています。

 

Sanuが提供するのは、国産材を100%使用した木造建築です。

木材は岩手県の間伐材を使用するため、ウッドショックのなかでも、安定的な資材の供給を可能にしました。

 

また、釘やビスの使用量を最小化し、ほぼすべての部品を分解できるよう設計されています。

部材の交換やメンテナンスをくわえれば、50年近く保てる耐久性があるうえ、建物を解体し別の場所での再建築もできます。

 

まさに製造から解体まで、環境を考慮した循環型の建設です。

 

参照元:SANU 2nd Home – 自然の中にあるもう一つの家

株式会社JEMSの取り組み事例

JEMSでは、サーキュラーエコノミーの実現に向け資源循環の価値証明サービス「Circular Navi」の提供を2022年4月に開始しました。

すでにプラスチックの資源循環をはじめとした実証実験などにご活用いただいています。

その他にも、一般廃棄物を削減するための回収量の見える化や、食品ロスを削減するための食品廃棄物の見える化などのさまざまな取り組みを支援しています。

 

今後も約30年にわたる廃棄物管理の分野で培ったノウハウとパートナーシップをもとに再生材や再生材利用製品の価値を最大化することで企業の循環型ビジネスの構築を支援していきます。

サーキュラーエコノミーに主体的に取り組もうとお考えの皆様のパートナーであり続けることを目指しています。

 

詳しい事例は、以下のページからからぜひご覧ください。

株式会社JEMSの「取組事例」

サーキュラーエコノミーは建設業界が抱える環境問題を解決する手立て

いかがでしたでしょうか?

 

環境問題への取り組みは、企業が経済活動を続けるにあたって、担うべき社会的義務と認識されつつあります。

 

従来の大量生産・大量消費を前提とする経済システムは、環境に甚大なダメージを与えます。

特に建設業界は、大量の資源を消費し、多くの廃棄物を排出してきました。

事業を継続するにあたって、これからはサーキュラーエコノミーを取り入れた仕組みを社内で構築し、廃棄物の排出量0を目指さなければならない時代なのです。

 

 


 

JEMSでは、企業のサーキュラーエコノミーへの取り組みに貢献するソリューションを提供しています。

Circular Naviは、企業のサプライチェーンのトレーサビリティーや再資源化率の可視化などによって、製品ごとに環境価値を提示することができます。

ぜひ、Circular Naviをご活用ください。

 


 

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