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人手不足でも産業廃棄物の収集運搬業務を回すには? 効率化を実現する5つのポイント
「ドライバーを募集しても、なかなか採用できない」
「配車を任せられる人が限られている」
「現場も事務も忙しく、日々の仕事を回すだけで精いっぱい」
収集運搬の現場では、こうした悩みを抱えている事業者も少なくないのではないでしょうか。
人手が足りなければ、人を増やすことはもちろん重要です。
ただ、必要な人材をすぐに確保できるとは限りません。
採用を進めながら、今いる人で仕事を回しやすくする工夫も必要です。
本記事では、受付、配車、運行、マニフェスト、売上・請求という仕事の流れをたどりながら、産業廃棄物の収集運搬業務を効率よく進め、日々の負担を軽減するための5つのポイントを紹介します。
人手不足が収集運搬業務に与える影響
人手不足は、産業廃棄物業界が抱える課題の一つです。
必要な人材の確保が難しいなかでは、採用だけでなく、今いる人員で業務を回しやすくすることも重要です。
収集運搬の業務効率化というと、まずドライバーの動きや運行ルートの見直しを思い浮かべるかもしれません。
ただ、収集運搬業務は、実際に廃棄物を運ぶことだけではありません。
受付から請求までの流れを見ていくと、その前後にもさまざまな業務があります。
・排出事業者から回収依頼を受け、内容を確認する。
・車両やドライバーの予定を確認しながら配車を組み、収集運搬を行う。
・回収後は運搬実績やマニフェストを確認し、売上・請求へつなげる。
このように、一つの回収には、現場だけでなく事務所で行う業務も数多く関わっています。
人手が限られているなか、どこかの業務に時間や手間がかかれば、その影響は現場だけでなく、管理業務や経営にも及びます。
では、人手不足によって、それぞれの立場にどのような影響が出てくるのでしょうか。
経営、管理、現場・事務の3つの視点から見ていきます。
経営|仕事はあっても、受けられない
排出事業者からの依頼が増えても、対応できる人員が不足していれば、すべての仕事を受けられるとは限りません。
車両に空きがあってもドライバーを確保できない。
ドライバーは動けても、受付や配車まで手が回らない。
人手不足によって、受けられる仕事が限られてしまうケースも考えられます。
無理に対応を続けると、売上が伸びても、残業代や外注費がかさみ、利益が残りにくくなることがあります。
こうした状況では、人員を増やすだけでなく、現在の人員で業務を効率よく進められるようにすることも重要です。
今いる人員と車両で、無理なく対応できる体制をどうつくるか。
そのためには、産業廃棄物の収集運搬業務のどこに時間や手間がかかっているのかを見直すことが重要です。
管理|経験のある担当者に仕事が集まりやすい
収集運搬業務のなかでも、配車は経験が求められる仕事の一つです。
配車担当者は、回収時間、車種、積載量、廃棄物の種類、搬入先、ドライバーの勤務状況など、さまざまな条件を踏まえて予定を組んでいます。
さらに、
「この現場なら、この車両の方が入りやすい」
「このルートなら、午後にもう1件回れそうだ」
「この処分場は、この時間になると混みやすい」
といった、経験から得た判断も欠かせません。
こうしたノウハウが一人の担当者に集中していると、その人が休んだときに、ほかの人では配車を組むのが難しくなることがあります。
急な依頼が入っても、「○○さんに聞かないと分からない」となれば、経験のある担当者ほど頼られ、仕事も集中していきます。
まずは、配車を組む際に確認する項目や判断基準を整理し、周囲と共有できる状態にしておくことが大切です。担当者が不在でも仕事を引き継ぎやすくなります。
現場・事務|「数分の作業」が積み重なっていく
現場や事務の仕事には、一つひとつは数分で終わるような作業も少なくありません。
たとえば、
・電話で受けた回収依頼を配車表へ入力する
・予定が変わったらドライバーへ連絡する
・紙の日報を確認して運搬実績を入力する
・請求内容が合わなければ、過去の伝票を探して確認する
一つだけなら、それほど大きな負担には感じないかもしれません。
しかし、1件5分でも、1日30件あれば、単純計算で150分です。
入力や転記、確認、連絡といった細かな作業も、毎日繰り返せば多くの時間を使います。
すべての作業を大幅に短縮するのが難しくても、重複する入力や、必要以上の確認・連絡がないかを見直すことで、削減できる時間が見えてくる場合があります。
人手が限られているからこそ、まずは受付から請求までの流れをたどり、どこに時間や手間がかかっているのかを整理してみましょう。
産業廃棄物の収集運搬業務を効率化する5つのポイント
産業廃棄物の収集運搬業務の効率を高めるには、運行だけでなく、その前後の業務も含めて見直すことが大切です。
ここからは、受付、配車、運行、マニフェスト、売上・請求それぞれで見直したいポイントを紹介します。
受付|受け取った情報を次の業務へつなげる
電話で回収依頼を受ける場合、時間がかかるのがその後の情報共有です。
担当者が依頼内容をメモして配車担当者へ伝え、配車担当者が配車表へ入力する。
情報が足りなければ、排出事業者へ改めて確認することもあります。
受付そのものよりも、その後に同じ情報を何度も書き写したり、確認したりすることが負担になっているケースもあります。
効率化を進める例としては、たとえばWeb受付を利用し、回収場所、希望日時、品目などをデータで受け取る方法があります。
受付した内容を配車担当者も確認できれば、電話やメモで改めて伝えなくても、その情報を使って配車作業を進められます。
「この依頼は聞いている?」「回収予定は何時だった?」といった確認も減らせるでしょう。
もちろん、すべての依頼をWeb受付に変える必要はありません。
電話で依頼する取引先もいれば、その場で相談しながら確認した方が早いケースもあります。
大切なのは受付方法を変えることではなく、一度受け取った情報を、その後の業務でも使えるようにすることです。
配車|予定や判断に必要な情報を共有する
配車では、車両やドライバーを割り当てるだけではなく、回収時間、品目、積載量、搬入先など、さまざまな条件を考える必要があります。
まずは、
「どの依頼が入っているのか」
「どこまで配車が決まっているのか」
「どの車両がどこを走るのか」
といった情報を、必要な人が確認できる状態にしておくことが大切です。
案件や車両が多く、配車表をつくること自体に時間がかかっている場合には、AI自動配車を活用する方法もあります。
目的は、担当者の経験を機械に置き換えることではありません。
システムに任せられる部分を委ねることで、急な依頼や現場事情を踏まえた調整など、人の判断が必要な仕事により時間を使いやすくすることです。
運行|現場と事務所で状況を共有する
配車が決まれば、実際の収集運搬が始まります。
その間、事務所では
「回収は終わったのか」
「予定より遅れていないか」
「次の現場へ向かえるのか」
といった状況を把握する必要があります。
そのたびに電話で確認していると、事務所側だけでなく、ドライバー側の仕事も中断することになります。
また、ドライバーが紙の日報に回収実績を記入し、帰社後に事務担当者が同じ内容を入力しているケースもあります。
たとえば、スマートフォンやタブレットから実績を登録し、その内容を事務所でも確認できるようにすれば、状況確認の連絡や帰社後の転記を減らすことができます。
現場とのコミュニケーションをなくすのではなく、確認だけの連絡を減らし、相談や判断が必要なときにしっかり話せる状態をつくることがポイントです。
マニフェスト|電子化で入力・確認の手間を減らす
紙マニフェストを中心に運用している場合は、電子マニフェストへの切り替えも業務を見直す方法の一つです。
電子マニフェストでは、マニフェスト情報をシステム上で登録でき、処理状況も画面上で確認できます。
また、電子マニフェストとして登録された情報はJWセンター(公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター)で保存されるため、紙マニフェストのように自社で保管する必要がありません。
さらに、利用しているシステムと電子マニフェストを連携できる場合は、運搬実績などの情報を活用し、入力の手間を減らす方法もあります。
マニフェストを電子化するだけでなく、日々の業務で扱う情報とどうつなげるかまで考えることで、入力や確認にかかる負担を減らしやすくなります。
売上・請求|月末に情報を集め直さない
「月末になると事務所が急に忙しくなる」
そんな場合は、請求書をつくる作業よりも、その前の確認に時間がかかっていないかを見てみましょう。
運搬実績を確認する。数量を見る。契約単価と照らし合わせる。
内容が分からなければ、現場や営業担当者へ確認する。
日々の業務ですでに扱っている情報を、請求前になってもう一度集めているケースもあります。
回収した実績を売上に反映し、確定した内容を請求にも使えるようにしておくことで、月末になって一から情報を集める作業を減らすことができます。
月末の負担を軽くするには、請求業務だけでなく、そこに至るまでの情報の扱い方も見直してみましょう。
受付から請求まで、産業廃棄物の収集運搬業務をまとめて管理する
前章では、受付、配車、運行、マニフェスト、売上・請求ごとに、見直したいポイントを紹介しました。
ただし、それぞれの業務を効率化しても、次の業務へ情報を渡すたびに転記や確認が必要であれば、その手間は残ります。
収集運搬業務全体の負担を減らすには、個々の作業だけでなく、業務間で情報をどう引き継ぐかまで考えることが大切です。
情報が分かれると、「つなぐ作業」が増えていく
たとえば、受付はExcel、配車はホワイトボード、現場は紙の日報、マニフェストはJWNET、請求は販売管理システム。
それぞれの業務では問題なく使えていても、次の工程へ進むたびに転記や確認が必要であれば、その間を人がつなぐことになります。
どこで転記や確認の作業が発生しているのかを確認してみましょう。
情報を引き継ぎ、二重入力を減らす
例えば、
・受付で登録した回収場所や品目を配車でも使う。
・ドライバーが登録した回収実績をマニフェストや売上へ反映する。
・確定した売上情報を請求へ引き継ぐ。
このように、一度入力した情報を次の業務でも使えるようにすれば、転記や再入力の手間を減らすことができます。
あわせて、転記ミスを防ぎやすくなり、「どの情報が最新なのか」「この内容で合っているのか」といった確認も少なくできます。
人が情報をつなぐのではなく、業務の流れに沿って仕組みで情報をつなぐ状態をつくることが、収集運搬業務全体の負担軽減につながります。
廃棄物処理・リサイクル業に合った基幹システムを考える
受付から請求までの情報をまとめて管理する方法の一つに、基幹システムの活用があります。
業務のデジタル化やDXを進める際も、単にシステムを導入するのではなく、自社の業務に合った仕組みを選ぶことが重要です。
収集運搬業務では、顧客や契約の管理だけでなく、受付、配車、マニフェスト、売上・請求など、廃棄物処理・リサイクル業ならではの業務があります。
そのため、システムを検討する際は、自社の仕事の流れに合っているかを確認することが大切です。
JEMSでも、こうした業務間のデータを活用しやすくするという観点から、廃棄物処理・リサイクル業向けの基幹システム『環境将軍R』を提供しています。
顧客・契約、受付、配車、マニフェスト、売上・請求などの情報を一元管理できるほか、配車業務については『LYNA 自動配車クラウド』との連携にも対応しています。
こうしたシステムも選択肢の一つとして、自社ではどこに転記や確認の手間が多いのかを整理したうえで、必要な仕組みを検討していくとよいでしょう。
まとめ|無理なく続けられる収集運搬業務へ
産業廃棄物の収集運搬業務を効率化するには、個々の作業だけでなく、受付から請求までの仕事の流れを見直すことが大切です。
人手不足をすぐに解消するのは難しいからこそ、採用を進めるだけでなく、今の仕事の進め方にも目を向けてみてはいかがでしょうか。
日々の業務を確認してみると、同じ情報を何度も入力したり、担当者に確認したりと、減らせる作業が見つかることがあります。
すべてを一度に変える必要はありません。
まずは、どの業務に時間や手間がかかっているのかを整理し、負担の大きいところから改善していく。
そうした取り組みが、限られた人員でも収集運搬業務を続けやすい体制づくりにつながります。
収集運搬業務の効率化に関するよくある質問
Q. 人手が足りないのはドライバーです。事務や管理の仕事を変える意味はありますか?
はい。事務や管理の負担を減らすことで、限られた人員でも仕事を回しやすくなります。
たとえば、運行状況の確認や日報の転記、実績の照合などを減らせれば、ドライバーと事務担当者双方の負担軽減につながります。
Q. 人手不足は今後も考えておくべき課題ですか?
人材確保の状況は地域や職種によって異なりますが、必要な人員をすぐに確保できない場合に備えて、今いる人員でも業務を回しやすい体制を整えておくことは重要です。
採用だけに頼るのではなく、受付や配車、運行、マニフェスト、請求などの業務に余分な手間がないかを確認しておくと、人員が限られる場合にも対応しやすくなります。
Q. 忙しくて業務改善に取り組む時間がありません。どこから始めればよいですか?
新しく改善活動の時間をつくる前に、普段の仕事のなかで「確認待ち」「探す」「書き写す」が多いところを探してみましょう。
たとえば、配車担当者への確認電話が多いのであれば、必要な情報をほかの担当者も見られるようにする。
請求前の照合に時間がかかるのであれば、どの情報を集め直しているのかを確認する。
最初から業務全体を変えようとせず、毎日の負担になっているところを見つけるだけでも、改善のきっかけになります。
Q. どの業務からシステム化すればよいのか分かりません。
すべてを一度にシステム化する必要はありません。
まずは、入力や転記を繰り返している業務、確認に時間がかかっている業務、特定の担当者に負担が集中している業務を洗い出してみましょう。
そのうえで、負担の大きいところから優先して見直すと、自社に必要なシステムや機能も整理しやすくなります。
Q. 紙・Excel・ホワイトボードで管理できている場合も、システム化した方がよいですか?
現在の方法で無理なく仕事が回っているのであれば、必ずしも変える必要はありません。
ただ、
「同じ内容を複数のExcelへ入力している」
「最新版を探すことがある」
「会社に戻らないと配車状況が分からない」
といったことが増えてきたら、今の方法が業務量や体制に合っているかを確認するタイミングです。
紙やExcelを使っていること自体ではなく、その管理方法によって困る場面が増えているかどうかを判断材料にするとよいでしょう。
Q. システムを導入すると、かえって現場の仕事が増えませんか?
システムは、現在の業務に合った形で活用することで、現場の負担を減らすことができます。
たとえば、ドライバーが登録した運搬実績を事務所でも確認できれば、日報の転記や電話での確認を減らすことができます。
大切なのは、今の仕事にシステムを追加するのではなく、これまで手作業で行っていた入力や確認を、どこまで減らせるかという視点で考えることです。
導入時には、入力項目や操作方法などが実際の仕事の流れに合っているかを確認しておくと、現場でも活用しやすくなります。
Q. 配車だけを効率化したい場合でも、受付や請求まで考える必要がありますか?
必ずしも、受付や請求まで一度に変える必要はありません。
ただし、受付した情報を配車へ入力し直したり、運搬実績を売上や請求へ転記したりしている場合は、配車だけでなく関連する業務も確認するとよいでしょう。
前後の業務も含めて確認することで、どこに手間がかかっているのかを把握しやすくなります。
Q. 配車システムと基幹システムは、どちらを導入すればよいですか?
解決したい課題によって変わります。
毎日の配車作成に時間がかかる、複雑な条件を組み合わせるのが難しいといった課題であれば、配車を支援するシステムが候補になります。
一方、受付内容の転記、運搬実績の入力、マニフェストとの照合、請求前の確認など、複数の工程にまたがって手間が発生している場合は、業務全体の情報を管理するシステムも検討した方がよいでしょう。
「どのシステムが優れているか」ではなく、自社のどこで時間や手間がかかっているかから考えることが大切です。
Q. システムを選ぶとき、機能以外に確認しておきたいことはありますか?
実際に使う人が無理なく運用できるかは、機能と同じくらい重要です。
現場で使う端末や入力方法はもちろん、現在使っているシステムとの連携、導入時のデータ移行、操作方法の説明、導入後のサポートなども確認しておきましょう。
また、自社独自の運用が多い場合は、「今のやり方をそのままシステム化する」のではなく、この機会に不要な作業がないかを整理することも大切です。
※出典
・公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター「電子マニフェスト導入のメリット」



