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企業のサーキュラリティ(循環性)を測定するツール①~Circular Transition Indicatorsv3.0とは~

2022/07/04

2024/1/9

  • サーキュラーエコノミー
  • 脱炭素社会
  • 循環型社会

はじめに

 Circular Transition Indicators(CTI)は、WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)及び30のグローバル企業より策定された、企業の取り組みのサーキュラリティ(循環性)を測定・自己評価するフレームワークです。このフレームワークに沿って具体的に試算するために、企業のサーキュラリティを算定するCTIオンラインツールも併せて提供されています。

Circular Transition Indicators(CTI)の指標と評価方法

 CTIは、20201月にv1.0としてWBCSDより公開されています。20212月に水のサーキュラリティに関する指標などを追加してv2.0として更新され、20225月にはさらに温室効果ガス(GHG)の排出影響の測定に関するメソッドを新たに開発してv3.0としてリリースされています。

 

CTIによる企業の課題解決

CTIは企業の以下の課題解決に役立ちます。

 (1)企業の現在の取り組みのサーキュラリティ(循環性)はどのくらいあるのか

 (2)改善目標はどのように設定するのか

 (3)改善結果はどのようにモニタリングするのか

 

CTIの評価方法

CTIは企業内のマテリアルフロー(投入された資源と排出された製品や副産物)の分析及び評価を軸として、企業(会社単位/事業単位/拠点単位)のサーキュラリティを算定し、資源利用の効率に関する度合いや循環型ビジネスにより生じた付加価値を数値化して提示します。

 CTIでは主に下記の3つのポイントを用いて企業のマテリアルフローを評価します。    

(1)インフロー(投入フロー)について

   製造などに投入された資源の中で、循環型のものはどのくらいあるのか

(2)アウトフロー(排出フロー)回収可能性について

   製品や副産物などの事業プロセスから排出されたものを回収できるように、

   どのような設計を行っているのか

(3)アウトフロー(排出フロー)実際の回収について

   製品や副産物などの事業プロセスから排出されたものは、実際にどの程度

   回収されているのか、または業界、地域毎の平均値はどのくらいなのか

 

 

V1.0に対するV2.0とv3.0の変更点

V2.0変更点

V3.0変更点

①水のサーキュラリティ、オンサイト水循環の計算方法の追加

②CTI収益指標の追加

③バイオエコノミー・ガイダンスの追加

①温室効果ガス(GHG)排出削減影響を計測する手法の追加

②寿命延長戦略にかかわる2つの指標(Actual  lifetime, %recovery by lifetime extension)の追加

③企業の意思決定及び優先順位の策定を支援するガイダンスの追加

 

CTI3.0指標一覧(2022年5月時点最新)

 CTI3.0は、4つのモジュール区分、10個の指標より、企業の会社単位/事業単位/拠点単位のサーキュラリティを評価します。

モジュール区分

指標

概要

Close the Loop
(ループ化)

1

% material circularity
(%マテリアルサーキュラリティ)

商品製造などに投入された資源と事業プロセスから排出された製品や副産物などの総量に対して、循環利用されたまたは循環利用可能な量の割合。

2

% water circularity
(%水のサーキュラリティ)

商品製造などに資源として投入された水と事業プロセスから製品や副産物などとして排出された水の総量に対して、循環利用されたまたは循環利用可能な水量の割合。

3

% renewable energy
(%再生可能エネルギー)

年間エネルギー使用量のうち、再生可能エネルギー使用量の割合。

Optimize the

 Loop

(ループ最適化)

4

% critical material
(%クリティカルマテリアル)

直線型投入資源総量のうち、自社にとって極めて重要な資源(例えば供給リスクがある資源)の割合

5

% recovery type
(%回収タイプ)

 

%recovery by lifetime extension

 (% 寿命延長の回収)

<%資源循環タイプ>

再使用/修理、リファービッシュ、再製造、リサイクル、生分解などの回収方法別の割合。

<% 寿命延長による資源循環>
延命回収方法の割合。再使用/修理、リファービッシュ、再製造の3つの回収方法の総割合。

6

actual lifetime
(実際の使用寿命)

製品平均使用年数や使用サイクル数に対して、自社製品の実際の使用年数やサイクル数。

7

Onsite water circulation
(オンサイト水循環)

社内施設の内部において水を循環利用する回数。

Value the Loop
(ループ評価)

8

Circular material productivity

(サーキュラーマテリアルの生産性)

「収益÷直線型投入資源量」より求める。
直線型資源消費と財務業績のデカップリング(分離)を確認する指標。

9

CTI revenue
CTI収益)

循環型製品・事業から生み出した収益。
サーキュラリティと業績を結び付けた測定基準。

Impact of the Loop

(ループ影響)

10

GHG impact
GHG影響)

現在使用されている再生不可能な材料が100%非バージン材に変更すると仮定した場合のGHG排出削減量。

出典:WBCSD2022Circular Transition Indicators v3.0より作成

おわりに

 循環型経済への移行はバリューチェーン全体の協力が必要です。そのために、共通の指標による評価、バリューチェーン内の情報共有が必要と考えられます。CTIはシンプルで、業界およびバリューチェーン全体に適用できることから、企業の循環型ビジネスへの転換を推進する共通のフレームワークとして期待されます。

 

参考:

Circular Transition Indicators v3.0 – Metrics for business, by business

Circular Transition Indicators v2.0 – Metrics for business, by business

Circular Transition Indicators V1.0 – Metrics for business, by business

 

 


 

JEMSでは、サーキュラーエコノミーの実現に向け資源循環の価値証明サービス「Circular Navi」の提供を20224月に開始しました。

すでにプラスチックの資源循環をはじめとした実証実験などにご活用いただいています。

その他にも、一般廃棄物を削減するための回収量の見える化などさまざまな取り組みを支援しています。

 

今後も約30年にわたる廃棄物管理の分野で培ったノウハウとパートナーシップをもとに再生材や再生材利用製品の価値を最大化することで企業の循環型ビジネスの構築を支援していきます。

サーキュラーエコノミーに主体的に取り組もうとお考えの皆様のパートナーであり続けることを目指しています。

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