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アナログ規制改革と廃棄物処理委託に関わる現地確認への影響

2022/06/14

2023/12/20

  • ICT
  • デジタル化

はじめに

 2022年63日に岸田文雄首相出席の下、デジタル庁のデジタル臨時行政調査会(第4回)が開催され、国の法令と政省令において「目視・対面・人の常駐」などを義務付けたいわゆる「アナログ規制」に該当する約5,000条項に対し、改正する方針を決定しました。

デジタル化の対象と処理状況確認(現地確認)への影響

 今回のアナログ規制改革の背景には、日本の国力低下と少子高齢化問題があります。2000年からの日本のGDPの伸び率は欧米諸国と比べて停滞しており、政府はその最大の要因をデジタル化の遅れだと分析しています。また、少子高齢化が年々深刻化し、あらゆる産業・現場で人手不足が起こっています。これらの課題に対し、デジタル技術を最大限に活用することで解決を図ることがこの取り組みの目的となっています。

 デジタル庁の調査会事務局では、代表的なアナログ規制である「目視、定期検査・点検、実地監査、常駐・専任、書面掲示、対面講習、往訪閲覧・縦覧」の7項目に該当する約5,000条項の法律、政令及び省令等に対して見直しを行います。見直しの第一弾として、約4,000条項については既に方針が確定され、それ以外の条項については20229月末までにその方針が確定する予定となっています。

 

(出典:デジタル原則に照らした規制の一括見直しプラン(案)について

 

これらの条項に対し、「Phase」という考え方で分けて見直しが行われます。例えば、目視・実施監査規制の各Phaseは以下です。

 

Phase1

目視・実施監査規制を課している現状のアナログ行為の状態。

 

Phase2

情報収集の遠隔化と人による評価。センサーやドローン、オンライン会議システムを活用して情報を収集し、そのリスク評価は人が行う状態。

 

Phase3

判断の精緻化と自動化・無人化Phase2に加えてリスク評価をAIなどに行わせる状態。

 

 この方針は様々な業界に大きな影響を与えることになり、廃棄物業界も例外ではありません。見直しが行われる約4,000条項の内、廃棄物処理法に関係する条項が約60あります。今回注目したいのは、「産業廃棄物の処理状況の確認」について、Phase2でデジタル技術を活用して情報収集を行うように見直しの方針が確定している点です。

 「今さら聞けない現地確認」でも紹介しましたが、これまでの産業廃棄物の委託に関わる状況確認は、排出事業者が委託先の施設に実際に訪れて確認を行ってきました。しかし、コロナ禍において、テレビ会議システムを活用したリモート現地確認を認める自治体も一部出てきました。今回のアナログ規制改革が行われることにより、遠方の委託先にわざわざ行く必要が無くなります。移動が大幅に削減されることに加えて、常時の確認が可能となります。そうすれば、排出事業者の担当者は業務負担を減らすことができ、一方、対応する処理業者においては個別に対応していた現地確認を集合研修のようにまとめて対応できるようになるなど、双方に大きなメリットがあるでしょう。

 

(出典:デジタル原則に照らした規制の一括見直しプラン(案)について

まとめ

 アナログ規制改革は、具体的な時期などは今後決定されていきますが、2023年から20256月までの2年半の間で、必要な法改正などが実施される計画となっています。これまでは目視で確認せざるを得なかったことや対面して行う必要があったことが、次々とデジタル技術を用いて効率的に行うことができるように変革されていきます。政府としては、要望ベースの改革ではなくテクノロジーベースの改革を行うとし、既にある技術・今後向上する技術を念頭に改革を行うと発表しています。政府からリモートや自動で行うことが認められれば、企業として新しい働き方に合わせて効率的に業務を行うことが可能となります。今後の改革の動きや推進のスケジュールに注目です。

 

 


 

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