お電話

メニュー

ナレッジ・コラム

COLUMN

炭素税とは

2022/05/17

2023/12/20

  • 脱炭素
  • 経営管理

 炭素税とはCO2を排出する化石燃料や電力の使用量に応じて税金をかける仕組みです。企業としては使用量が増えれば増えるほど金銭的な負担が大きくなるため、設備の高効率化や再生エネルギー導入等の取り組みが進み、結果的にCO2の排出量が減ることが見込まれます。

日本で導入されている炭素税「地球温暖化対策税」

 炭素税というとまだ日本では馴染みが無いように感じますが、「地球温暖化対策税」という制度が201210月から導入されています。

 日本で排出される温室効果ガスの約9割は、エネルギー利用に由来するCO2です。大幅な温室効果ガス削減のためにはエネルギー起源によるCO2の排出抑制が必要不可欠であることから、全化石燃料に対する現行の税率に加えて、地球温暖化対策税としてCO2排出量1トンあたり289円という税率がかけられています。この制度による税収はCO2排出抑制施策に充当し、再生可能エネルギーの大幅な導入拡大や省エネ対策の強化などに活用されます。

 

 

 

出典:環境省「エネ特(エネルギー対策特別会計)とは」

他国での事例

 炭素税は1990年にフィンランドが世界で初めて導入しました。現在は暖房用・輸送用の化石燃料に対してCO2排出量1トンあたり9,625円(2021年の円換算)の税率が課されており、日本と比較すると非常に高い金額となっている一方で、産業用途の電力やバイオ燃料等には減税するといった配慮がされています。

 また、税収は一般会計に充てられるため、フィンランド国内における所得税の減税や企業の社会保障費を削減した分へと補填されます。各国が抱える課題や方針が異なるため、一概に良し悪しの判断はできませんが、日本と比較すると税率が高く、一般会計に充てられるという国は多く存在しているようです。

 

近隣アジアを見てみると、

・シンガポール(2019年に炭素税を導入済)では2024年炭素税率引き上げを発表。

・インドネシアでは2022年に石炭火力発電を対象に炭素税を導入。2025年以降は対象を拡大予定

であり炭素税に関する取り組みが進展しています。

日本の今後の動向

 昨年度、環境省では炭素税に関する議論が進められたものの、産業界への負担増となることが懸念され、令和4年度の税制改正においては、新たな炭素税の導入については見送られることとなりました。しかし、炭素税に関する議論は続いており、現行の「地球温暖化対策税」の見直しという方法で新たな仕組みを導入するとも考えられます。

 また、炭素税などの市場のメカニズムを動かす手法については、単にCO2の削減だけでなく、産業の競争力強化や投資促進にも繋げる“ポリシーミックス”という考え方があります。規制や課税という負担だけでなく、削減努力を果たそうとする企業に対してインセンティブとなる手法も合わせて検討されるでしょう。

まとめ

 炭素税とはCO2を排出する化石燃料や電力の使用量に応じて税金をかける仕組みで、日本では「地球温暖化対策税」という制度が201210月から導入されています。1トンあたりのCO2排出量が金額で換算され、課税されるようになったことは、CO2を排出し続けることが企業において明確に損失として受け止められるのではないでしょうか。

 パリ協定にて掲げた2030年温室効果ガス46%削減、そして2050年には排出量を実質ゼロにするという目標達成に向けて、炭素税の見直しを含めた脱炭素をめぐる国の施策はこれからも進展し続けます。

 企業おいては自社の事業活動から排出されるCO2を把握しておくこと、そして削減に対する具体的な行動を起こさなければ、これからの潮流に乗り遅れてしまうでしょう。

 

 


 

JEMSでは、サーキュラーエコノミーの実現に向け資源循環の価値証明サービス「Circular Navi」の提供を20224月に開始しました。

すでにプラスチックの資源循環をはじめとした実証実験などにご活用いただいています。

その他にも、一般廃棄物を削減するための回収量の見える化や、食品ロスを削減するための食品廃棄物の見える化などのさまざまな取り組みを支援しています。

 

今後も約30年にわたる廃棄物管理の分野で培ったノウハウとパートナーシップをもとに再生材や再生材利用製品の価値を最大化することで企業の循環型ビジネスの構築を支援していきます。

サーキュラーエコノミーに主体的に取り組もうとお考えの皆様のパートナーであり続けることを目指しています。

JEMSの取組事例はこちら

 


PAGETOP

お問い合わせ

Contact & Download