サーキュラーアドバンテージとは?事例とともに解説
2024/07/18
2024/7/31
- 循環型社会
近年、新しいビジネスモデルとして提唱されているのが、サーキュラーエコノミーです。
そのサーキュラーエコノミーに関して、サーキュラーアドバンテージという重要な考え方が存在することを、ご存じでしょうか?
今回は、サーキュラーアドバンテージについて、その事例とともに解説いたします。
「サーキュラーエコノミーに対する世間の動向を把握し、企業戦略を練りたい」とお考えの担当者様は、ぜひご覧ください。
サーキュラーアドバンテージとは?
サーキュラーアドバンテージとは、サーキュラーエコノミーに取り組んだ企業が、市場競争において獲得する優位性のことです。
総合コンサルティング会社大手の『アクセンチュア』が、2015年に発売した書籍のなかで初めて提唱し、以降世間にも浸透していきました。
ところで、「サーキュラーエコノミーに取り組む企業が競争優位性をもつ」とは、具体的に何を意味するのでしょうか?
これを理解するためには、サーキュラーエコノミーという考え方が登場した背景から知る必要があります。
18世紀の産業革命以降、人類は“大量生産・大量消費”を基軸とする経済でもって、社会を発展させてきました。
しかし、大量生産・大量消費を行うということは、地球上に存在する原料を大量に消耗していくことにほかなりません。
限りある資源やエネルギーはいずれ枯渇し、結果として人類全体が多大な損失を被ってしまいます。
こうした状況を転換すべく登場した、まったく新しいビジネスモデルこそが、サーキュラーエコノミーなのです。
サステナブルな社会の実現に向けた機運が高まっている昨今、サーキュラーエコノミーに取り組むことは、消費者からの信頼を獲得することにつながります。
また、投資家からも「この企業には将来性がある」と評価を得られるため、自社ビジネスのさらなる発展も叶います。
これが、サーキュラーエコノミーに取り組んだ企業が、市場における優位性、つまり“サーキュラーアドバンテージを獲得する”ということなのです。
サーキュラーエコノミーのビジネスモデル
サーキュラーアドバンテージを得るためには、まず、サーキュラーエコノミーのビジネスモデルを正しく理解しなくてはなりません。
【サーキュラーエコノミーの5つのビジネスモデル】
ビジネスモデル |
概要 |
サーキュラー型のサプライチェーン |
製品の製造に再生可能な原材料を用いることで、環境へも配慮しつつ、調達コストの削減や安定調達の実現を図る |
回収とリサイクル |
廃棄予定の製品や設備をほかの用途に再利用し、生産・廃棄コストを削減する |
製品寿命の延長 |
製品を新しく作るのではなく、継続的に回収・アップグレードを施すことで再利用していく |
シェアリング・プラットフォーム |
使っていない製品や施設を、それを必要とする人に共有し、効果的に利用してもらう |
サービスとしての製品(Product as a Service) |
製品を買ってもらうのではなく、利用したぶんだけ料金を支払ってもらう |
いずれも「廃棄を極力減らす」「今あるものを最大限活用する」という思想が根底にあるとわかります。
単に製品を作って売るのではなく、製造過程から、消費者の手に渡ったあとまでをトータルで考えることが、サーキュラーアドバンテージを得るために必要なエッセンスなのです。
また、サーキュラーエコノミーと似た概念として、3R(リデュース、リユース、リサイクル)が挙げられることもありますが、その2者間には明確な違いがあります。
3Rは、あくまでも廃棄物は出る前提のうえで、それを如何に再資源化・再利用していくかに焦点をあてた考え方です。
対して、サーキュラーエコノミーは、そもそも廃棄物を出さないようにすることを目標としています。
廃棄物の処理段階だけではなく、製品の設計から始まるライフサイクルすべてを通じて、資源の効率的な活用を図っているわけです。
従来のビジネスモデルから、サーキュラーエコノミーのビジネスモデルへと移行するためには、リサイクル技術をはじめとするテクノロジーの活用が必要不可欠です。
また、そのビジネスモデルを実践する領域や、展開するサービスの内容も精査する必要があります。
綿密に戦略を練ったうえでサーキュラーエコノミーに取り組むことで、サーキュラーアドバンテージの獲得につながるはずです。
サーキュラーアドバンテージを獲得した成功事例
最後に、実際に企業がサーキュラーアドバンテージを獲得した成功事例をご紹介いたします。
成功事例 Too good to go
世界中で問題となっている“食品ロス”を解決するために誕生したのが、『Too good to go』というデンマークで誕生したサービスです。
このサービスを使うと、スーパーや飲食店で売れ残ってしまった、まだ食べられる食材・食品を、消費者が元値の半額以下で購入することができます。
専用のアプリさえダウンロードしておけば、対応する付近のお店がすぐにわかり、そこから商品を選んで簡単に予約できるため、利便性も抜群です。
食品ロスの問題にもアプローチしつつ、消費者にもお求めやすい価格で食品を提供できるToo good to goは、ヨーロッパを中心に多くの人の支持を得ています。
結果、2020年の時点で、ヨーロッパ14か国でのユーザー数が約2,000万人、対応店舗数は約4万店に達するほどの躍進を見せました。
サーキュラーアドバンテージの獲得には、社会問題の解決に向けた真摯な取り組みが必要であるとわかる、素晴らしい事例だといえます。
サーキュラーアドバンテージとは、サーキュラーエコノミーへの取り組みによる競争優位性
今回は、サーキュラーアドバンテージについて、具体例とともに解説しました。
サーキュラーアドバンテージとは、サーキュラーエコノミーに実効的に取り組んだ企業が、市場において獲得する優位性を意味します。
世界的に、サステナブルな社会の実現に意識が向いている昨今では、サーキュラーエコノミーに取り組むことが、消費者の信頼獲得につながるのです。
JEMSでは、サーキュラーエコノミーの実現に向け資源循環の価値証明サービス「Circular Navi」の提供を2022年4月に開始しました。
すでにプラスチックの資源循環をはじめとした実証実験などにご活用いただいています。
その他にも、一般廃棄物を削減するための回収量の見える化などさまざまな取り組みを支援しています。
今後も約30年にわたる廃棄物管理の分野で培ったノウハウとパートナーシップをもとに再生材や再生材利用製品の価値を最大化することで企業の循環型ビジネスの構築を支援していきます。
サーキュラーエコノミーに主体的に取り組もうとお考えの皆様のパートナーであり続けることを目指しています。