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COLUMN

2022年の環境法令の動向

2022/04/11

2022/4/25

  • SDGs
  • 経営管理

はじめに

 環境基本法を根幹とする環境法令は、歴史的には私たち一人一人の健康や生活環境を守るために、公害の防止や廃棄物管理を中心に整備されてきました。しかし、近年では気候変動や資源循環という地球全体の課題に対する対応へと範囲が広がってきています。

内容

 4月より施行された「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」においては、私たちの生活に関わる部分も多くニュース等でよく見かけることとなりました。今回は2022年以降に施行が予定されている、または改正に向けて進んでいる法律についてポイントとなる内容を見ていきたいと思います。

 

 

プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(202241日施行)

 当コラムでもポイントを分けて数回にわたり取り上げました。無償で提供されるプラスチック製品の削減等、消費者に直接的に関係する内容であったことから、注目の高い法律となっています。

 

<該当のコラム>

プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律とは?

解説!!『プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律』① ~法律に関する用語整理及び解説~

解説!!『プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律』②~廃棄物処理法とは異なる「多量排出事業者」について~

解説!!『プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律』③~「特定プラスチック使用製品」と新しい「当たり前」について~

【臨時コラム】『プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律』~案からの変更点について~

 

 

再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(202241日改正)

 再生可能エネルギーを普及させるべく、これまではFITFeed-in Tariff)制度により補助金が付与されましたが、常に市場価格は一定価格となるため電力需要ピーク時に供給量を増やした際のインセンティブがありませんでした。この4月からはFIPFeed-in Premium)制度に変わり、市場価格と連動して常に一定額の補助金が付与されるため、需要のピーク時(市場価格が一番高い時間帯)に発電された電力はこれまで以上に高い価格となることで、再エネ発電事業者による蓄電池の積極的な活用や発電予測の精度向上等の取り組みが進むことが見込まれます。

出典:経済産業省資源エネルギー庁「再エネ特措法改正関連情報

 

 

地球温暖化対策の推進に関する法律(202241日改正)

 パリ協定で定めた目標達成や2050年までに脱炭素社会を実現するため、国民の理解や協力が大前提であることが明示されるとともに、企業は温室効果ガスの排出量について電子システムによる報告が原則化され、開示請求の手続きなしで公表される仕組みとなりました。(対象となる企業はこれまでの基準通り、「特定事業所排出者」及び「特定輸送排出者」)

 これにより、対象となる企業の温室効果ガス排出量が常に開示され、比較される状態となるため、企業側はより脱炭素を意識した経営へ推進していくことが考えられます。

参考:環境省「地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案の閣議決定について

 

 

エネルギーの使用の合理化等に関する法律改正案(202231日閣議決定)

化石エネルギーから非化石エネルギーへの転換促進のため、改正案では一定規模以上の事業者に対して、非化石エネルギーへ転換するための中長期計画の作成及び非化石エネルギー使用状況の定期的な報告が求められることとなります。

法律上、“再生エネルギー何%以上とする”といった明確な基準は無いものの、該当する事業者は本格的な再生エネルギーの導入を模索しなければならないのではないでしょうか。

 参考:「安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました

まとめ

 今回は環境法令という観点から、新たに施行が始まった法令や改定が進められている法令を抜粋し紹介しました。改定内容を見ると資源循環と脱炭素(再生エネルギー)という、これからの企業経営にとって切り離すことのできないキーワードが多くみられます。ルールが切り替わったときに対応を考えるのではなく、ルールが切り替わったときにすぐに対応できる準備をしておくことが企業価値を高めることにも繋がります。

 環境負荷に関わる情報は可視化して、いつでも開示できるような透明性を確保すること、そしてその情報が正しいということを証明できるエビデンスを持っておくことが重要だと考えます。

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